今回は、成長中のスタートアップで成果を出している方へのインタビューです。これから創業期や成長中スタートアップへの転職を考えている方に向けてお届けします!
生成AIのプロダクトは数え切れないほど生まれていますが、事業として生き残っている会社はほんのわずかです。
Lightblue社は、そのわずかな一社。エンジニアの研究者集団としてスタートし、いまは建設業・製造業といった「AIが当たり前ではない産業」の現場に深く入り込んでいます。
その事業を営業サイドから引っ張ってきたのが、営業部長の川俣彰広さんです。入社した当時、全社20名ほどで、営業はわずか2名という状態でした。そこから3年で、事業規模は3倍以上になっています。
川俣さんがどのようにキャリアを歩み、どのようにLightblue社の成長に貢献してきたのか。そして、AI時代に営業として何を身につけるべきか。スタートアップを目指す方にとって有益な内容となりますので、ぜひ最後までお読みください!
執行役員 営業部長
川俣 彰広氏
新卒でワークスアプリケーションズに入社し、ERPパッケージのエンタープライズ営業を6年間担当。3年目で売上No.1となり、4年目からマネージャーとして3年連続で予算達成。その後、Webサイト多言語化SaaS企業で業界トップ企業の新規開拓を担い、2年連続で売上No.1を達成。フリーランスでの営業支援を経て、2023年にLightblueへ入社。
営業2名の状態から組織を立ち上げ、3年で事業を3倍以上へと伸ばす。現在は営業に加えて、採用・組織づくり・カルチャー形成・製品の売り方のコンセプト設計まで担う。
株式会社Lightblue
https://www.lightblue-tech.com/
- 設立
- 2018年01月
東京大学発のAIスタートアップ。画像解析・自然言語処理AIを軸にしたソリューションを開発・提供し、リアル空間にアルゴリズムを導入することで企業の課題解決に取り組む。
主力プロダクトは、社内ナレッジや業務ノウハウを活かしたAIアシスタントを構築・運用できるAIプラットフォーム「Lightblue」と、カメラ映像から人の動作や状態を数値化する「Human Sensing」。あわせて、AI導入の設計から教育・定着支援までを担うプロフェッショナルサービスを提供している。建設業・製造業を中心に導入が進んでいる。
- 目次 -
「まだプレイヤーとして足りてない」——30歳で降りたマネージャーの座
まず、簡単に自己紹介とこれまでのご経歴を伺えますか。
株式会社Lightblueの川俣と申します。キャリアの始まりは、新卒で入ったワークスアプリケーションズです。人事系・会計系のERPパッケージ、いわゆるITのエンタープライズ営業を6年ほどやっていました。新卒から4年目くらいのときにマネージャーに昇格して、そこからずっと予算とチームを持ってやってきました。
そこから30歳のタイミングで、SaaS企業に転職しました。30名くらいの規模のときに入って、120名を超えるくらいまで拡大していく時期です。当初は小さなアカウント、小さな金額の受注が中心だったところから、業界トップと言われる大手企業の受注を取っていき、事業を成長させました。
その後、フリーランスになり営業コンサルティングを半年から1年ほどやっていたところで、妻の紹介でLightblueの代表と出会いました。そこから話が進んで入社することになり、営業部長という立場で今に至る、という感じです。
なぜ、一度目の転職でマネージャーからあえてプレイヤーに戻られたのですか。
まだプレイヤーとして足りてないと思ったからですね。
ワークスは営業会社として有名で、上のVPクラスは本当に強いんです。その一流のレベルに自分が届いている感覚はありませんでした。正直、トップ営業でもあったので、自信はあったんです。ただ、僕が売っていたのは、先輩たちがシェアNo.1まで積み上げてくれた実績と事例の上にあるものでした。その土台をゼロからつくった先輩たちには、やっぱり敵わない。何もない状態で初めて大手企業を受注してきた先輩たちに憧れていたので、自分もそれをやりたかったんです。
Lightblueを初めて知ったときの印象はいかがでしたか。
正直に言うと、本当にエンジニアの研究者集団で、ラボみたいだなと(笑)。6人しか入らない部屋にエンジニアが缶詰めになって開発していて、営業も2人しかいない。ただ、技術力に感動したんですよ。
Lightblueに入社するまでは、お客様に「この機能が欲しい」と言われても、社内からは「開発できるかわかりません」「半年かかります」と返ってくる世界でした。だから、営業の仕事はお客様の期待値をコントロールして、謝って、調整することだと思っていたんです。
ところがLightblueでは、「できますよ」と即答されるんです。しかも、実際にできてしまう。ここまで違うのかと衝撃を受けました。
売上を3年で3倍以上に——伸びた理由は「共感」だった
入社されてからの事業の進捗を教えてください。
私が入った時点では、1年目、2年目と着実に伸びて、いまは当時の3倍以上の規模になっています。
ポジションは営業中心の役回りから、責任範囲はどんどん広がりました。売上を作るところから、採用、組織づくり、カルチャーづくり、製品の売り方のコンセプト設計まで。
ここまで成果を上げられた理由は何でしょうか。
まず、技術力は間違いない。Lightblueのサービス自体の差別化が根幹にあって、そこに私が入り、お客様に届けるところを作れたのがベースになっています。
もうひとつが、メンバーの共感です。その軸になっているのが、我々のバリュー「自分の仕事に誰よりも詳しくなる」こと。
一般的な営業の役割は、「お客様との関係をつくること」だという感覚が強いように思います。製品のデモはエンジニアやセールスエンジニアが担当して、技術的な質問は専門部隊が答え、営業は良いところを伝えればいい、という分業ですね。
ただ、その形だと、自分の中に語れるだけの実感が積み上がらないんですよ。
まず自分たちが誰よりも使い込んで、誰よりも詳しくなる。そのうえで「自分の働き方がこう変わった」という実感を持つ。その実体験があるから、お客様の働き方がどう変わるのかを、自分の言葉で説明できるようになる。
この共感づくりは、私が主導でやってきました。だから、メンバーの言葉がちゃんとお客様に届くようになり、それが成長に繋がったんだと思っています。
それが全メンバーに浸透しているのでしょうか。
そこは本当に取り組んできました。営業メンバー全員が製品を使い込んで、自分の体験として語れる状態をつくる。未経験だからとか関係ないんです。そういう取り組みができるメンバーになったから、結果につながっている。若手でも結果が出ているのは、そこだと思っています。
その熱量は、そのままお客様に伝わります。生々しい言葉で語れる人が売るから、お客様の中で「これは本当に使えるものだ」という実感が生まれる。だから一社一社で、本当に使われている事例ができていく。その結果として、導入企業は着実に増えています。
順調に伸びてきたように聞こえますが、ぶつかった壁もありましたか。
一つ挙げるなら、組織づくりですね。実際のところ、かなり負荷の高い環境だと思います。忙しいですし、高い目標も掲げていますから、メンバーが辞めたいと思うタイミングはやっぱりあると思うんです。
それでも、自分たちが「やっぱりこのプロダクトはいいな」と思える。そしてお客様からも「Lightblueでよかった」「仕事が楽しくなった」という言葉をいただける。その両方が重なったときに、感動体験が生まれるんです。そして、その感動体験は会社全体にも伝わり、みんなが同じ温度感で語るようになる。すると、採用にもつながっていく。
最初は取締役・役員の4名だけだったのが8名になり、10名になり、さらにその下まで浸透していきました。
中身のある活動を積み上げてこられたことが、少しずつ一つの形になってきたのかなと思います。
一番大事にしているのは、ファンをつくること
お客様との付き合い方について大事にしていることはありますか。
一番大事にしているのは、ファンをつくることです。
目指しているのは、お客様と同じゴールに向かって一緒にプロジェクトを進める関係です。そのために、本当に使っていただくところまで一緒にやる。対面で説明会を開いたり、工場まで訪問して説明したりと、膝を突き合わせて進めていきます。
お客様も、社内で推進するには味方をつくって役員に説明していく必要があります。だったら、そこも一緒に攻略しようと考えて、最初に企画したのが役員向けのイベントでした。
オフラインイベントも多いそうですね。
はい。例えば、青森のねぶた祭りに合わせた研修イベントを3年連続で開催しています。
講演やお客様向けのプログラムを行ったあと、衣装に着替えて実際にねぶたに参加するんです。キャンプサイトを貸し切ってグランピング施設まで立ち上げるので、本来ツアー会社が担うような準備を全部社員でやっているんですよ(笑)。
ほかにも、冬はスキー合宿、9月には300人規模の自社AIイベントを開催します。
今挙げたものは全部、私が入ってSaaSが立ち上がってから始めたもので、ここ3年間の話です。
こうした場をお客様と共有していくと、関係性が変わります。「この人たちと一緒に仕事をしよう」と言ってくださる方も出てくるんです。
「その人にしかできない仕事を、みんなができるように」
建設業や製造業など、AIが当たり前ではない産業が相手だと、営業にはかなりのスキルが求められそうです。それでも若手メンバーが活躍されているのはなぜでしょうか。
生成AIの恩恵が大きいと思います。本来なら何年もかけて積むような経験を、短い期間で何度も回せているんです。
まず土台として、「Lightblue営業の心構え」をちゃんと整備したんですよ。「営業とは、お客様のプロジェクトメンバーである」という定義から始まって、ずっと続けてきた勉強会の内容も再整理して、本が書けるくらいのレベルまでコンテンツがあります。
それを、AIに覚え込ませるんです。そうすると、自分が担当した商談の記録を読み込ませるだけで、その心構えに沿ったフィードバックが返ってくるようになります。いわば「Lightblueとしてのフィードバック」を、いつでも受けられる状態です。
そこに私や先輩からのフィードバックも重なるので、成長速度がすごく上がっています。
AIの価値はどのように捉えていますか。
我々のAIの価値の定義は、「誰でもできる仕事を早くする、簡単にする」ではなくて、「その人にしかできない仕事を、みんなができるようにする」ことなんです。
だから、議事録を楽にすることではなく、営業の考え方をインストールすることに価値があると思っています。そうなると、現場のノウハウを持つ人が自分でAIを作らないと意味がありません。エンジニアが開発するのではなく、ノウハウを持っている本人が教え込むんです。
社内トライアルもいっぱいしているので、新機能が出るとみんながすぐに触って、自分でも何かつくってみるんです。例えば、2年目のメンバーが自分でエージェントをつくって「これ、お客様と一緒に使ってみます!」と持ってくるように、新しいものが無限に生成されていきます。
社内はどんな雰囲気なんですか。
セールスのナレッジを共有する社内Slackのチャンネルがあって、そこに私が例えば「レポート作成のアシスタントを作ってみました。商談をこれに入れてみてください」と投げかけるんです。
すると、すぐにメンバーが「私もやってみました」「ここが良いと感じたんですよね」とリアクションしてくれて、そこからまた意見が集まっていきます。
大事なのは、フィードバックの内容そのものより、「やってみました、意見をください」というやり取りが次々に起きること自体だと思っています。自分の考えを発信して、すぐに動いてみる。これは実は、簡単にできることではありません。
だから、こういうカルチャーをつくるには、私がまずやってみることがすごく大事なんです。結果として、社会人経験6年以下・31、32歳のメンバーが年間1億円を売ってくるようになっています。
求める人材像と、これから目指す組織
どんな方が入ってくれると嬉しいですか。
一番は、知的好奇心を持って「まずやってみる」人です。変化が激しいので、新しいものが出たらすぐ触ってみる人ほど、速くキャッチアップできるんです。
あとは行動力です。あれだけのイベントにお客様をお誘いするのも、結局は自分から一歩踏み出せるかどうかなんですよ。そこの差はすごく大きいと思います。
そして、もう一段上で言うと「なぜそれをやるのか」を問える人です。目的とゴールを設定できるかどうかは、AI時代にすごく大事だと思っています。
AIに何かをつくらせるにしても、一つひとつ「なぜこれが必要なのか」「どう使ってほしいのか」という思いがある人がつくらないと、形にならないんです。その思いを持った人がつくって、部下に使ってもらう。それが我々のコンセプトです。
どうなりたいのか、どうありたいのか、何のためにやるのか。そういう問いを自分で立てられるかどうかは、これからの時代ますます重要だと思います。
今後目指したい組織像を教えてください。
我々はAIの会社として、少なくともトップランナーにならなければいけないと思っています。
エンタープライズの世界では、昔から基幹システムを外資系のツールに任せてきました。何百億円もかけて開発するのが当たり前で、AIの領域でもいま同じことが起きようとしていますが、その投資に見合う成果は本当にあったのか。これからも同じように任せ続けていいのかと考えると、そこは変えていきたいんです。
我々のお客様は建設業・製造業が多いので、そこが変われば、日本の国力を上げる取り組みになるはずです。技術力という土台はすでにあるので、あとはそれを届けられる組織をつくっていくだけです。だからこそ、規模拡大に意味があるんです。
ただ、規模が大きくなっても、お客様と一緒に体験をつくっていく熱量を持ち続けられる組織にしていきたいと思っています。
最後に、記事を読んでくださる方にメッセージをお願いします。
Lightblueは、成長したい人・チャレンジしたい人が力をつけられる環境だと、自信を持って言えます。だから、まずは一度会いに来てほしいですね。
AIに代替されない人になるには、「なぜこれをやるのか」という問いを、自分で立て続けることが必要だと思うんです。
だからこそ、自分の価値はどこにあるのかを、一人ひとりが考えたほうがいい。どこに行っても通用する力を自分で見つけて磨いていくことが、キャリアとその先の人生を守ってくれるはずです。ぜひ一緒に力をつけていきましょう。
編集後記
印象に残ったのは、メンバーの誰もが自分の手応えを語れることでした。
サービスを説明するだけでなく、使う立場に立って、誰よりも詳しくなる。そうやって生まれた熱が自分の言葉になり、お客様に伝わっていくのだと実感しました。
そしてその全部を支えているのが、「まずやってみる」という姿勢でした。新しい機能をすぐ触ることから、お客様を大きなイベントにお誘いすることまで、とにかく一歩目を自分で踏み出す。それを川俣さん自身が続けてきたことが、今の組織につながっているのだと思います。
成長できる環境でチャレンジしたい方は、ぜひLightblueの扉を叩いてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
株式会社Lightblue
https://www.lightblue-tech.com/
- 設立
- 2018年01月
東京大学発のAIスタートアップ。画像解析・自然言語処理AIを軸にしたソリューションを開発・提供し、リアル空間にアルゴリズムを導入することで企業の課題解決に取り組む。
主力プロダクトは、社内ナレッジや業務ノウハウを活かしたAIアシスタントを構築・運用できるAIプラットフォーム「Lightblue」と、カメラ映像から人の動作や状態を数値化する「Human Sensing」。あわせて、AI導入の設計から教育・定着支援までを担うプロフェッショナルサービスを提供している。建設業・製造業を中心に導入が進んでいる。
