医療・食料・環境…広がるバイオの応用領域
バイオテクノロジーは今、医療にとどまらず、私たちの暮らしのあらゆる領域で身近になりつつあります。
たとえば、
インテグリカルチャー社は、細胞から肉を培養することで、倫理的にも環境的にも持続可能な「未来の食」を実現しようとしています。
ビーフソムリエ社は、牛の血液から遺伝的ポテンシャルを読み解き、AIによる数理モデルで「おいしさ」の育成改善を提案しています。
ファイトリピッド・テクノロジーズ社は、微細藻類の油脂生産能力を活かし、エネルギーや資源を生み出すしくみの社会実装に挑戦しています。
ベホマル社は、CO₂を吸収するバイオマス由来の粉末素材「Binowa®」を開発し、プラスチックに混ぜれば、製品自体がCO₂吸収機能を持つという「どこでもCO₂回収スポット」を構想しています。
MYCL Japan(マイセルジャパン)社は、「菌糸」で作られた新素材を衣類・包装材・建材などに応用し、キノコの力で循環型素材社会の実現を目指しています。
メタジェンセラピューティクス社は、腸内細菌叢移植(FMT)による創薬に取り組み、献便文化の構築から治験施設の設立、人工便開発まで、社会実装に向けて動いています。
こうした企業にみられるように、バイオテクノロジーを環境や社会課題の解決に向けて応用していく動きは、確実に広がっています。
バイオテクノロジーを支える主要技術
遺伝子工学
例:CRISPR、RNA干渉、ゲノム編集作物、遺伝子ドライブ技術など、DNAの改変によって新たな性質を付加する技術です。
細胞工学・幹細胞技術
例:iPS細胞、ES細胞、オルガノイド、細胞治療など。再生医療や細胞ベースの治療・研究に活用されています。
合成生物学(Synthetic Biology)
例:微生物に人工DNAを組み込んで、医薬品や香料、燃料などを生産する技術。標準化・自動化により加速しています。
バイオインフォマティクス
例:ゲノム解析や創薬支援AI、パーソナライズド医療など。大量の生命情報を解析・活用する分野です。
マイクロバイオーム技術
例:腸内フローラや皮膚常在菌の解析と制御。健康・美容・農業分野でも注目を集めています。