HRBPとは?仕事内容と人事との違い、スタートアップで求められる経験も解説

「求人にHRBPとあるけれど、いまの人事の仕事と何が違うんだろう」

採用や労務を数年担当して、次の役割を考え始めた人ほど気になる言葉かもしれません。

先に答えると、HRBPとは事業の責任者の近くで、人と組織の打ち手を考えて実行する人事の役割です。

採用や評価といった仕事の種類ではなく、担当する事業ごとに付く点がこれまでの人事と違います。

ただ、従業員1〜100人の会社では、75.1%がHRBPを置いておらず今後も置く予定なしと答えています[注1]。

では、少人数のスタートアップでHRBPはどう募集され、どんな経験が求められているのでしょうか。

スタートアップ専門の転職サイト「スタクラ」の求人を読むと、会社の段階で任される範囲が大きく違うことが見えてきました。

この記事でわかること

  • HRBPとは何か
  • HRBPとこれまでの人事の違い
  • HRBPの主な仕事内容
  • スタートアップのHRBPが任される範囲
  • 採用担当からHRBPを目指すときに足りない経験

HRBPとは?

HRBPとは、事業の責任者の近くで、人と組織の打ち手を考えて実行する人事の役割です。

HRBPは、HR Business Partner(HRビジネスパートナー)の略です[注2]。

HRは人事のことで、HRBPは事業の相棒としての人事という意味です。

考え方のもとは、経営学者デイブ・ウルリッチが1997年に出した本『Human Resource Champions』です。

日本では『MBAの人材戦略』という題で、同じ1997年に出ています。

この本の解説によると、人事には「戦略パートナーとしての役割を果たすことが求められる」とされています[注3]。

事業の戦略の相棒としての人事を、専任の担当として置いたのがHRBPです。

HRBPとこれまでの人事の違いは?

これまでの人事は仕事の種類ごとに分かれ、HRBPは担当する事業ごとに付きます。

たとえば、採用担当は全社の採用を、労務担当は全社の勤怠や保険の手続きを受け持ちます。

HRBPは営業部門や開発部門など1つの事業に付き、その事業に必要な採用・配置・育成をまとめて考えます。

比べる点 これまでの人事 HRBP
分け方 仕事の種類ごと 担当する事業ごと
主な相手 社員と候補者 事業の責任者
出発点 決まった手続き 事業の目標

大きな会社では、人事を役割で3つに分けることがあります。

大手電機メーカーの日立製作所は、人事の部門に3つの役割を置きました。

ビジネスパートナー・専門家の集団・日々の業務の運用の3つです[注3]。

給与計算や保険の手続きを担う労務は、HRBPとは受け持ちが分かれる仕事です。

ただし、HRBPがいる会社はまだ多くありません。

人事向けメディア「日本の人事部」の2026年の調査には、5,103社が答えました。

その調査では、HRBPが「いる」と答えた会社は17.6%でした。

従業員5,001人以上の会社では、46.8%がいると答えました。

一方で1〜100人の会社では、75.1%が「今後も設ける予定はない」と答えています[注1]。

少人数の会社では、肩書きにHRBPがなくても、事業の責任者と組む人事の求人を探すと見つけやすくなります。

たとえば「1人目人事」(社内で最初の人事の担当)や「人事責任者候補」と書かれた求人です。

HRBPの仕事内容は?

事業の責任者とHRBPがパソコンの画面を見ながら話す場面

HRBPの仕事は、事業の計画を人の計画に置き換えて、それを実行することです。

「日本の人事部」の用語解説でも、HRBPは「事業戦略と人事戦略を結び付け、策定・実行を担う」役割とされています[注2]。

核融合の装置を開発する京都フュージョニアリング株式会社の求人では、HRBPの仕事に次の4つを挙げていました。

  • 事業計画と連動した人員計画
  • 事業に欠かせない人材の採用と定着
  • 組織の力を高めるマネージャーの支援
  • 評価・報酬・等級・キャリア開発の仕組みの改善

1つ目の人員計画は、事業の計画に合わせて、いつ何人をどの役割で増やすかを決める仕事です。

等級は、社員の役割や力の段階を決めて、給与とつなげる仕組みです。

組織の状態をエンゲージメントサーベイで見える形にし、経営陣に提言することも書かれていました。

エンゲージメントサーベイは、社員が会社や仕事にどれだけ前向きに関わっているかを測るアンケートです。

HRBPが向き合う問いは「この事業を次のステージへ進めるために、どのような組織が必要か」でした[注4]。

採用担当や制度の担当と違い、どの仕事も事業の次の段階に要る組織から考え始める点がHRBPの特徴です。

HRBPを募集するスタートアップの仕事内容と年収を、求人で読み比べられます。

年収は、無料登録すると見られます。

スタートアップのHRBPはどこまで任される?

少人数のチームで組織図のホワイトボードを囲んで話す場面

スタートアップのHRBPは、会社の段階によって人事をゼロから作る役割にも、事業ごとの相棒にもなります。

スタートアップは、革新的なビジネスモデルで急成長を目指す企業のことです。

2026年10月19日にスタクラに載っていた求人2,288件のうち、HRBPで検索して出た求人は10件でした。

そのうち、募集の名前にHRBPやHRビジネスパートナーが入る求人は10件中4件です[注5]。

4件を会社の段階で並べると、任される範囲は次のように違っていました。

会社の段階 任される範囲(会社)
創業期 1人目の人事(REHATCH)
創業期 自社と投資先の人事(mint)
事業の確立期 採用と組織づくり(エイターリンク)
拡大期 事業ごとの組織と人の戦略(京都フュージョニアリング)

会社の段階は、スタクラの求人に書かれた段階です。

創業期は事業を立ち上げたばかり、拡大期は事業が伸びて人を大きく増やしている段階を指します。

事業の確立期は、その間で事業の形が固まってきた段階です。

段階の見分け方は、自分に合うスタートアップはどのフェーズ?で詳しく解説しています。

創業期のREHATCH株式会社は、マーケティングの判断を助けるAIのサービス「ENSOR」を提供する会社です。

採用・評価・社風づくりの仕組みをゼロから作りながら、事業部のHRBPも兼ねる募集でした。

それまでは経営陣と事業の責任者が、採用や評価を兼務で担ってきたと書かれています[注6]。

株式会社mintは、スタートアップに出資するベンチャーキャピタルという種類の会社です。

自社の人事戦略に加えて、120社を超える投資先の採用支援や組織づくりも担うHRBPを募集していました[注7]。

エイターリンク株式会社は、配線なしで電気を送るワイヤレス給電の技術を持つスタンフォード大学発の会社です。

中途採用を自ら動かしながら、人員計画や評価制度の運用まで担うHRBP・人事マネージャーの募集でした[注8]。

一方、拡大期の京都フュージョニアリングは、国内外の社員が190人を超えたと書いています。

HRBPのチームメンバーをまとめながら、経営陣と事業の責任者の相棒になる役割でした[注4]。

残りの6件では、HRBPは歓迎する経験や、入社したあとに目指す役割として書かれていました[注5]。

たとえば、採用担当の求人に「実力次第で採用責任者やHRBPまで」と書いた会社もありました[注9]。

HRBPになるには何の経験が要る?

自宅でノートパソコンを使って求人の必須条件を読んでいる場面

募集の名前にHRBPが入る4件は、どれも人事の経験を必須の条件にしていました[注5]。

ただ、4件中3件は採用以外の経験もあわせて求めていました。

  • エイターリンクは採用の経験3年以上(目安)と採用以外の人事の経験
  • REHATCHは人事の実務経験3年以上と事業の側で働いた経験
  • 京都フュージョニアリングはHRBPや人事責任者などの経験7〜8年以上(目安)
  • mintはHRBPか人事制度の設計・人材育成・採用のどれかの経験

REHATCHは、事業の側の経験を「顧客接点もしくはP/L責任に関わった経験」と書いていました。

P/Lは損益計算書のことで、売上や利益に責任を持った経験を指します。

同じ求人には、手続きだけを担ってきた人や労務の専任だった人は対象外とも書かれていました[注6]。

採用だけを担当してきた人なら、評価や育成など採用以外の人事か、事業の側の経験を足すとHRBPの求人に近づきます。

隣の仕事へ少しずつ担当を広げる考え方は、未経験でも挑戦できる?「染み出し」というキャリア戦略で紹介しています。

HRBPの求人を見るときは、次の4つを確かめると、入社後の食い違いを減らせます。

1. 人事は自分1人か、ほかに人事の担当がいるか

2. 相棒になる相手は経営陣か、事業の責任者か

3. 必須の経験に、事業の側の経験が入っているか

4. 採用の実務を自分の手で動かす割合はどれくらいか

人事が自分1人かどうかは、特に先に確かめておきたい点です。

REHATCHの1人目人事の求人には、人事に必要な手続きや仕組みの設計と運用も仕事に入っていました[注6]。

求人に書かれていないときは、面談でいまの人事の体制と、自分が最初の半年で任される仕事を聞くと確かめられます。

会社の段階や必須の経験を、1件ずつ読み比べられます。

登録すると、気になる会社に話を聞いたり、応募したりできます。

HRBPの求人を探す▶

HRBPについてよくある質問

HRBPとCHROの違いは何ですか?

CHROは人事の最高責任者で、HRBPは事業ごとに付く人事の役割です。

CHROはChief Human Resources Officerの略で、会社全体の人事に責任を持つ役員を指します。

経営者の近くで働く仕事については、CEOとは?社長・COOとの違いと、スタートアップで経営者の近くで働く経験を解説で紹介しています。

HRBPは未経験からなれますか?

今回読んだスタクラの4件は、どれも人事の経験を求めていました[注5]。

人事の経験が全くない状態から、いきなりHRBPとして入る求人は見当たりませんでした。

採用担当として入社し、あとから採用責任者やHRBPを目指せると書いた求人はありました。

その求人も、採用人事か人材業界での2年以上の経験を必須にしていました[注9]。

HRBPに資格は必要ですか?

今回読んだスタクラの10件には、資格を応募の条件にした求人はありませんでした[注5]。

求められていたのは、資格よりも人事の実務の経験と、その年数です。

HRBPとは何かのまとめ

HRBPとは、事業の責任者の近くで、人と組織の打ち手を考えて実行する人事の役割です。

これまでの人事が仕事の種類ごとに分かれるのに対し、HRBPは担当する事業ごとに付きます。

スタートアップでは、会社の段階で1人目の人事からチームを率いる事業の相棒まで、任される範囲が大きく変わります。

求人を見るときは、人事の体制・相棒になる相手・事業の側の経験・採用の実務の割合の4つを確かめてから応募を決めてください。

参考・出典

[注1]『日本の人事部』6割の企業でHRBPを設ける予定がない【人事白書2026 調査結果】 2026年3月3日〜3月31日・正会員5,103社が回答(2026年10月20日に確認)

[注2]『日本の人事部』HRBPとは|意味、役割、スキル、事例 人事用語辞典(2026年10月20日に確認)

[注3]須田敏子ウルリッチ『MBAの人材戦略』 日本労働研究雑誌 No.753(2023年4月号) 原著はUlrich, D.(1997)Human Resource Champions, Harvard Business School Press。日立製作所の人財部門の3つの役割も同じ記事(2026年10月20日に確認)

[注4]スタクラ京都フュージョニアリング株式会社の求人(HRビジネスパートナー)(2026年10月20日に確認)

[注5]2026年10月19日にスタクラの求人一覧に載っていた2,288件(審査を通って公開中のもの)から集計 キーワード「HRBP」で検索して出た10件を1件ずつ読んだ。募集の名前にHRBPかHRビジネスパートナーが入る4件の仕事内容と必須・歓迎の条件の欄を読んで分けた。残りの6件は、HRBPが歓迎の条件・入社後の役割・部署の説明として書かれていた。年収は会員登録が要るので数えていない

[注6]スタクラREHATCH株式会社の求人(人事責任者候補・1人目人事)(2026年10月20日に確認)

[注7]スタクラ株式会社mintの求人(HRBP)(2026年10月20日に確認)

[注8]スタクラエイターリンク株式会社の求人(HRBP・人事マネージャー)(2026年10月20日に確認)

[注9]スタクラ株式会社LivCoの求人(採用人事)(2026年10月20日に確認)

この記事を書いた人

岡田 七海

岡田 七海

株式会社スタートアップクラス マーケティング部 スタートアップ転職メディア「スタートアップマガジン」の企画・編集・執筆を担当。