SIerとは?どんな会社かと仕事内容、求人で見かけたときの意味を解説

「求人に『SIer出身歓迎』と書いてあるけれど、SIerが何かわからない」

IT業界の外から転職先を探していると、こうした戸惑いがよく聞かれます。

それもそのはずで、SIerはほかの会社のシステムを作る会社なので、普段の暮らしで名前を目にすることが少ないのです。

この記事では、SIerがどんな会社でどんな仕事をしているのかを、厚生労働省などの資料をもとに説明します。

そのうえで、求人にSIerが出てきたときにどこを見ればいいかを、スタクラの求人の例で紹介します。

この記事でわかること

  • SIerの意味とどんな会社か
  • SIerの仕事内容と会社の種類
  • 求人にSIerが出てきたときに見るところ
  • SIerに関わる経験を求める求人の例

SIerとは?

顧客の会議室で、エンジニアがホワイトボードの図を指して説明している場面

SIerは、顧客の会社のシステムを作るところから動かすところまで、まとめて引き受ける会社です。

読み方は「エスアイヤー」です。

厚生労働省の職業情報サイトjob tagは、SIerを次のように説明しています。

一般企業や官公庁向けにシステムを構築したり、既存システムの保守を行う企業をSIer※と呼びます。

SIは、System Integration(システムを組み上げること)の略です。

SIerは、SIを行う会社を指す和製英語です[注1]。

たとえば、銀行から頼まれて銀行で使うシステムを作り、動き始めたあとも保守する会社がSIerです。

SIerはどんな会社?

SIerは、ほかの会社や役所から頼まれてシステムを作る会社です。

こうした仕事を、受託開発と呼びます。

総務省の日本標準産業分類(国が統計で使う産業の分け方)でも、SIerの仕事は受託開発ソフトウェア業に入ります[注2]。

SIerの業界は、中小企業が9割以上を占めます[注1]。

1つの会社を頂点に、下に会社が何段も重なるピラミッドの図

大きなシステムは、1つの会社だけで作るとは限りません。

SIerの業界は、顧客から直接仕事を受ける元請けを頂点に、下請けの会社が何段も重なる形になっています。

job tagは、この形を次のように説明しています。

SIerはプライム・コントラクター(一次請け企業)を頂点とするピラミッド型の多重下請け構造となっています。

プライム・コントラクターや一次請けは、元請けの会社のことです。

元請けから仕事の一部を受ける会社を2次請け、さらにその下を3次請けと呼びます。

job tagは、3次請けより下の会社では手がける業務が限られ、経験を広げにくいという課題も挙げています[注1]。

求人や会社の紹介で「一次請け」とあれば、顧客から直接仕事を受ける立場だという意味です。

SIerではどんな仕事をする?

SIerで働く人は、技術の仕事をする人と、営業の仕事をする人に大きく分かれます[注1]。

技術の仕事の中心は、システムエンジニア(SE)です。

SEは、顧客の話を聞いて作るものを決め、作って納めるまでを受け持ちます。

job tagは、受託開発のSEの仕事を、次の順で説明しています。

1. 顧客にヒアリングしてシステムの概要をまとめる

2. 顧客と検討してどんなシステムにするかを決める(要件定義)

3. 画面やデータの形などを決める(基本設計・詳細設計)

4. 新しく作る部分をプログラマーに頼む

5. テストをして顧客と一緒に確かめる

6. 導入して動き始めたあとも支える(保守)

要件定義は、システムに何をさせるかを顧客と決める工程です。

作る部分については、job tagに次のように書かれています[注3]。

新規に作成が必要なソフトウェアは詳細設計に基づき、プログラマーに作成を依頼する。

そのためSIerのSEは、自分でプログラムを書くより決めて頼む仕事が中心になりやすいのです。

要件定義や設計のように考える作業が中心の工程を上流、プログラミングやテストを下流と呼びます。

job tagは、上流と下流は立場が上か下かではなく、仕事の中身と必要なスキルの違いだとしています[注1]。

求人で「上流工程の経験」とあれば、要件定義や設計の経験を指します。

スタクラで「SIer」と入れて探すと、営業やプロジェクト管理の求人も出てきます。

スタートアップの求人サイトのスタクラでは、独自の審査を通った会社の求人を厳選して載せています。

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SIerにはどんな種類がある?

SIerは、資本のつながりや扱うシステムによって大きく3つに分けられます。

会社の紹介に「ユーザー系」「メーカー系」「独立系」とあれば、この分け方のことです。

種類 どんな会社か
ユーザー系 金融や鉄道などの会社のシステム部門が子会社として独立した会社
メーカー系 コンピューターや通信機器を作って売るメーカーに属する会社
独立系 メーカー系にもユーザー系にも属さず資本の面で独立した会社

ユーザー系は、システムを使う側の会社から独立した子会社なので、システム子会社とも呼ばれます。

job tagは、SIerの多くはユーザー系に属しているとしています[注1]。

求人でSIerが出てきたら、どこを見ればいい?

求人にSIerが出てくる場面は、大きく次の3つです。

  • 応募する会社そのものがSIerのとき
  • 応募の条件にSIerの経験が書かれているとき
  • 仕事の相手としてSIerが書かれているとき

求人のSIerの1行は、出てくる場面によって意味が変わります。

応募する会社がSIerのとき

会社の紹介に「受託開発」や「システムインテグレーション」とあれば、SIerの仕事をしている会社だと読めます。

その場合、仕事は顧客の要望を聞くところから始まります。

自社のサービスを作る会社とは、仕事の始まり方が違います。

job tagで受託開発のSEとWebサービス開発のSEを比べると、違いは次のとおりです。

受託開発のSEとWebサービス開発のSEを比べた表/受託開発は顧客へのヒアリングで始まる・作るものは顧客と一緒に決める・設計に沿ってプログラマーに頼む/Webサービス開発は求められるサービスをチームで考えて始まる・作るものは自社のチームで決める・4〜6人のチームで作る

受託開発のSEは、顧客へのヒアリングから仕事を始めます。

Webサービス開発のSEは、求められるサービスをチームで考えるところから始めます[注3・注4]。

求人では、作るものを決めるのが顧客か自社のチームかを見ると、仕事の中身を思い描きやすくなります。

応募の条件にSIerの経験が書かれているとき

条件に「SIer出身」「SIerでの経験」とあれば、顧客と作るものを決めて導入まで進める経験を求めています。

こうした求人が出る背景には、システムを使う側の会社の変化があります。

job tagによると、システムを使う側の会社は自社でシステムを作る動きを進め、技術者の中途採用を増やしています。

スキルのある技術者が、下請けの会社から顧客の会社へ移る例も出てきています[注1]。

条件を読むときは、必須の経験か、歓迎する経験かを分けて見ます。

必須は応募に要る経験で、歓迎はあれば評価される経験です。

SIerの経験が歓迎の欄にだけあるなら、その経験がなくても、必須の条件を満たせば応募できます。

仕事の相手としてSIerが書かれているとき

仕事の相手としてSIerが書かれている求人もあります。

自社の製品をSIerと組んで顧客に届ける会社では、SIerとのやりとりが仕事に入ります。

SIerに関わる経験を求める求人には、どんな例がある?

自社のオフィスで、エンジニアのチームが大きな画面を見ながら話し合っている場面

スタクラの求人から、応募の条件や仕事の相手にSIerが出てくる例を3つ紹介します。

必須の経験の1つにSIerが入っている例

FastLabel株式会社は、AI開発に使うデータの課題を解決する会社です。

製造・物流・商社の業界の顧客に向けた、フィジカルAIのソリューションアーキテクトを募集しています。

フィジカルAIは、ロボットや機械など、現実の世界で動くものに使うAIのことです。

ソリューションアーキテクトは、顧客の課題に合わせて技術の組み立てを考える仕事です。

必須の経験は4つのうちどれかに当てはまればよく、その1つが次の経験です[注5]。

SIer、IT子会社、または事業会社において、システム/ソリューションの要件定義、アーキテクチャ設計、導入推進を担った経験5年以上

IT子会社は、親の会社に属してシステムを受け持つ子会社のことです。

事業会社は、IT業界の外で自社の事業を営む一般の会社のことです。

SIerだけでなく、事業会社で要件定義から導入までを担った経験も当てはまる求人です。

IT業界の外の会社で社内のシステムを入れる仕事を長く担った人も、当てはまるかを確かめられます。

歓迎する経験にSIerが入っている例

株式会社人機一体は、遠隔操作ロボットを作る立命館大学発の会社です。

ソフトウェアエンジニアの募集で、歓迎する経験に次を挙げています。

SIer等で外部システムや周辺機器を繋ぎ込む(インテグレーションする)開発経験

必須の経験は、C・C++・Pythonのいずれかを使った開発の経験(合計3年以上)です[注6]。

SIerの経験はあれば評価される経験で、応募に要るのはプログラムを書く経験です。

SIerと一緒に働く経験を歓迎する例

株式会社セシオスは、ログインとIDの管理を受け持つクラウドサービス「SeciossLink」などを作る会社です。

自社の製品を顧客の環境に入れる、インテグレーションエンジニアを募集しています。

歓迎する経験には、次の経験が挙がっています。

パートナー企業(SIer)への技術支援やプリセールスの経験

プリセールスは、営業と一緒に製品の技術の面を説明する仕事です。

この求人のSIerは取引先で、SIerが顧客に製品を入れるのを技術で支える仕事も含まれます[注7]。

どの例でも、SIerという語は書かれた欄や立場で意味が変わります。

自分の経験が当てはまるかは、求人の必須と歓迎の欄で確かめられます。

気になる求人は、仕事の内容から応募の条件まで読み比べられます。

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SIerについてよくある質問

SIerとSEの違いは?

SIerは会社の種類で、SEは職業の名前です。

job tagは、受託開発のシステムエンジニアの勤め先として、SIerを挙げています[注3]。

IT業界の外からSIerに転職できますか?

job tagによると、IT業界で働き始めるのに特別な資格は要りません。

IT業界は人手が足りず、IT企業は未経験の人の採用も進めています[注1]。

応募できるかは、求人の必須の欄で確かめます。

SIerとSESの違いは?

SIerは会社の種類で、SESは契約の形です。

SES(システムエンジニアリングサービス)は、プロジェクトごとに、特定の業務に対して技術者の働きを提供する契約です。

SESは、SIerの業界の中でも使われています[注1]。

違いは、SESとはの記事で詳しく紹介しています。

SIerの年収はどのくらいですか?

SIerだけの数字ではありませんが、近い職業として、job tagの受託開発のシステムエンジニアを見ます。

job tagに載っている、この職業を含むくくりの年収は578.5万円、平均年齢は37.1歳です。

この数字は、国が毎年行う賃金の調査(令和7年の賃金構造基本統計調査)をもとにしています[注3]。

実際の年収は、求人に書かれた年収の幅で確かめます。

SIerとは何かのまとめ

SIerは、顧客の会社のシステムを作るところから動かすところまで引き受ける会社です。

業界は元請けを頂点に下請けが重なる形で、仕事は顧客の要望を聞くところから始まります。

求人でSIerを見かけたら、応募する会社なのか求める経験なのか取引先なのかを見分けます。

求める経験なら、必須か歓迎かを分けて読みます。

スタクラでは、会員登録すると求人の年収まで見られます。

まずは気になる求人で、SIerがどの欄に書かれているかを確かめてみてください。

参考・出典

[注1]厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) 特集「IT・通信の仕事」(2026年10月25日に確認)

[注2]総務省 日本標準産業分類(令和5年7月改定)3911 受託開発ソフトウェア業(2026年10月25日に確認)

[注3]厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) システムエンジニア(受託開発)(2026年10月25日に確認)

[注4]厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) システムエンジニア(Webサービス開発)(2026年10月25日に確認)

[注5]スタクラ FastLabel株式会社の求人(ソリューションアーキテクト)(2026年10月25日に確認)

[注6]スタクラ 株式会社人機一体の求人(ソフトウェアエンジニア)(2026年10月25日に確認)

[注7]スタクラ 株式会社セシオスの求人(IDaaSインテグレーションエンジニア)(2026年10月25日に確認)

この記事を書いた人

岡田 七海

岡田 七海

株式会社スタートアップクラス マーケティング部 スタートアップ転職メディア「スタートアップマガジン」の企画・編集・執筆を担当。