「OKRで目標を立てています」と聞いたけれど、KPIと何が違うのかよく分からない。
スタートアップの採用ページや面談でこの言葉に出会い、そう感じた人もいるかもしれません。
それもそのはずで、検索で上位に並ぶ解説の多くは、OKRを取り入れる会社の人事に向けたものです。
先に答えると、OKRとは野心的な目標と、その達成を測る主要な成果を組にして決める方法です。
KPIは、取り組みの進み具合を数字で測るための指標です。
この記事では、OKRの意味とKPIとの違いを、Googleの手引きや公的な資料をもとに整理します。
そのうえで、スタートアップのOKRの実例と、働く側から見て評価がどう変わるかを紹介します。
スタートアップ専門の転職サイト「スタクラ」の求人2,290件も数えました。
OKRとKPIが、求人の本文にどれだけ書かれているかを見るためです。
- 目次 -
この記事でわかること
- OKRとは何か
- OKRとKPIの違い
- スタートアップのOKRの実例と自分のOKRの立て方
- OKRで目標を立てる会社で働くと評価はどうなるか
- OKRで目標を立てる会社の探し方
OKRとは?
OKRとは、野心的な目標と、その達成を測る主要な成果を組にして決める方法です。
OKRはObjectives and Key Resultsの略です。
Objective(O)が目標、Key Results(KR)が主要な成果を指します。
Googleは、働き方の手引き「re:Work」を公開しています。
その中で、OKRは野心的な目標を立てて進み具合を追うために使うと説明されています。
目標は少し居心地が悪いくらい高く置き、1つの目標に主要な成果を3つほど決めます。
Googleは年と四半期ごとにOKRを立て、全社の会議で四半期に1回、共有して採点しています。
OKRをGoogleに伝えたのは、同社に出資した投資家のジョン・ドーアです。
ドーアは2000年の初めに、Googleの経営陣にOKRを紹介しました[注1]。
ドーアがOKRを知ったのは1970年代です。
半導体メーカーのインテルで、経営者のアンディ・グローブのもとで働いていたときでした[注2]。
OKRとKPIの違いは?
2つの違いは役割で、OKRは目指す所そのものを決め、KPIはそこへ向かう取り組みを測ります。
KPIはKey Performance Indicatorの略で、内閣府の資料は次のように説明しています[注3]。
KPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator)とは、目標を達成するための取組の進捗状況を定量的に測定するための指標です。
違いを3つの点で並べると、次のとおりです。
| 比べる点 | OKR | KPI |
|---|---|---|
| 何を決めるか | 目標と主要な成果の組 | 進み具合を測る指標 |
| 決めるときの基準 | 少し居心地が悪いくらい高く置く | 客観的な成果を表す指標にする |
| 数字の使い方 | 0.0〜1.0の点で採点する | 取り組みの状況や効果を評価する |
OKRの欄はGoogleの手引き、KPIの欄は内閣府の資料にある説明です[注1・注3]。
OKRは「どこまで届いたか」を点で振り返り、KPIは「いまどこまで進んだか」を数字で見るものと言えます。
スタートアップのOKRの実例は?
上場まで育ったスタートアップ2社の公開例では、目標を短い言葉で置き、主要な成果を数で確かめる形にしています。
Sansan株式会社は、名刺管理や請求書受領の仕組みを提供している会社です。
同社が提供する「Bill One」という請求書受領サービスの開発チームは、Oに「急成長を楽しむ」を置きました。
KRには、自社の技術ブログを7本以上書くことを置いたと公開しています。
このKRは、書く本数という行動の数で置かれています[注4]。
当社では OKR を採用しており、今期 Bill One 開発 Unit の「急成長を楽しむ」という O (Objective) に対して「Sansan Tech Blog を 7 本以上執筆する」という KR (Key Result) を掲げました。
フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、OKRを全社共通の目標設定の道具にしています。
メルカリは、Objectiveを「短期で向かう方向性」と定めています。
Key resultsは「ストレッチゴール」と定めています。
ストレッチゴールとは、手を伸ばしてやっと届くくらいの高めの目標のことです。
一方でメルカリは同じ記事で、OKRだけでは短期の目線に縛られやすいとも書いています[注5]。
OKRを決める役目を、社員以外に任せる会社もあります。
企業データベースのサービスを手がけるSalesNowという会社は、業務委託の人にもOKRづくりを任せています。
業務委託とは、雇われるのではなく、仕事ごとに契約して働く形です。
スタクラのWebメディア「スタマガ」の社長インタビューで、代表の村岡功規さんがこう話しています。
業務委託の方にもマネジメントを任せたりKPIやOKRの策定を任せたりするなど、出来るだけ裁量のある仕事をお任せするようにしました。
インタビューの全文はSalesNowのCEOインタビューで読めます。
スタートアップでは、立場に関係なくOKRを書く役目が回ってくることがあると考えておくと安心です。
スタートアップの求人を、仕事内容や会社の段階で見比べられます。
スタクラでは、独自の審査を通ったスタートアップの求人を掲載しています。
自分のOKRはどう立てる?
自分のOKRは、Googleの手引きの考え方に沿って、次の順で書くと形になります。
1. チームや会社のOKRを読み、自分の仕事がどこにつながるかを確かめる
2. 目標を1行で書き、少し高いと感じるところに置く
3. 主要な成果を3つほど、数えられる結果の形で書く
4. 四半期の終わりに、0.0〜1.0の点で振り返る
手引きは、主要な成果は「やること」ではなく「結果」で書くよう求めています[注1]。
たとえば営業職なら、目標を「担当地域で一番相談される営業になる」と置く形です。
主要な成果には、紹介から生まれた受注の件数や、既存のお客さまからの追加の契約の件数を置きます。
手引きの考え方では、訪問の回数のような「やること」の数は主要な成果に入りません。
ただし、技術ブログを書く本数をKRに置いたSansanのように、行動の数をKRに置く会社もあります。
入社したら、その会社のOKRの書き方に合わせます。
OKRで目標を立てる会社で働くと評価はどうなる?
Googleの手引きは、OKRと社員の評価は同じものではないと書いています。
手引きでは、すべてのOKRの平均で0.6〜0.7、つまり60〜70%の達成がちょうどよいとされています。
すべてを達成しなくてよい作りになっているということです。
いつも全部を達成する人は、目標が十分に高くないと手引きは書いています。
低い点は、次のOKRを直す材料として使います。
OKRは組織の中で公開し、誰が何に取り組んでいるかを全員が見られるようにします[注1]。
一方で、日本の会社でも、目標を決めて管理する仕組みはすでに広く使われています。
その代表がMBO(Management by Objectives)で、目標を決めて、その達成の度合いで管理する方法です。
人と組織の調査をするパーソル総合研究所という機関は、企業の人事部など800人に目標管理の実態を聞きました。
MBO・OKR・そのほかのいずれかの目標管理を実施している企業は53.8%でした。
MBOは、3割を超える企業が実施していました[注6]。
今の会社の目標の考え方と、OKRの採点の考え方が同じとは限りません。
だからこそ、OKRの達成率と評価の関係を入社前に確かめておくと、入ってからの戸惑いが減ります。
スタクラの求人では、OKRはどう書かれている?
スタクラの求人2,290件を数えると、本文にKPIがある求人は368件、OKRがある求人は1件でした。
KPIは、任される仕事として仕事内容の欄に書かれていました。
「KPI設計とモニタリング」「KPIの改善」のような書き方です。
OKRがあった1件は、ダイニーという会社の人事の求人です。
ダイニーは、飲食店のレジや、客がスマートフォンで注文する仕組みを手がける会社です。
仕事内容の欄に、次のように書かれています[注7]。
評価・目標管理(OKR)運用
OKRで目標を立てているかどうかは、求人票だけではほとんど分からないということです。
OKRで目標を立てる会社は、どう探す?
OKRで目標を立てる会社かどうかは、カジュアル面談や面接で直接聞くのが確実です。
カジュアル面談とは、選考の前に会社の人と気軽に話す場のことです。
次の3つを聞くと、答えから働き方が見えます。
面談で聞きたい3つのこと
- OKRの点と評価や給与はつながっているか
- OKRは何か月ごとに見直すか
- 個人のOKRは自分で決めるのか、上司と決めるのか
求人を探すときは、まず職種や仕事内容で気になる会社を選び、面談でOKRの運用を聞く順番が現実的です。
気になる会社を見つけたら、面談でOKRの運用を聞けます。
登録すると、気になる会社に話を聞いたり、応募したりできます。
スタートアップとベンチャーの違いから確かめたいときは、スタートアップとベンチャーの違いもあわせて読んでみてください。
OKRについてよくある質問
OKRは何の略ですか?
OKRはObjectives and Key Resultsの略です。
野心的な目標と、その達成を測る主要な成果を組にして決める方法を指します。
OKRとKPIの違いは何ですか?
OKRは目指す所そのものを決め、KPIはそこへ向かう取り組みを測ります。
OKRは「どこまで届いたか」を点で振り返り、KPIは「いまどこまで進んだか」を数字で見ます[注1・注3]。
OKRの達成率はどのくらいが目安ですか?
Googleの手引きでは、すべてのOKRの平均で60〜70%の達成がちょうどよいとされています。
採点は0.0〜1.0の点で行います。
1.0は、目標を完全に達成した状態です[注1]。
OKRはGoogleでいつから使われていますか?
Googleの手引きによると、2000年の初めにジョン・ドーアがGoogleの経営陣に紹介しました[注1]。
ドーアの本の紹介文では、ドーアがGoogleの創業者と会ったのは1999年の秋とされています[注2]。
OKRとは何かのまとめ
OKRとは、野心的な目標と、その達成を測る主要な成果を組にして決める方法です。
KPIが進み具合を測る物差しなのに対し、OKRは目指す所そのものを決めます。
スタクラの求人2,290件のうち、OKRが書かれていたのは1件でした。
OKRの運用は、面談で聞いて確かめるのが確実です。
聞きたいことを3つ用意したら、気になるスタートアップの求人を見てみてください。
参考・出典
[注1]Google re:WorkSet goals with OKRs(2026年10月18日に確認)
[注2]Penguin Random HouseMeasure What Matters ジョン・ドーアの本の紹介文(2026年10月18日に確認)
[注3]内閣府地方創生事業実施のためのガイドライン【概要版】(令和3年3月) 6ページ(2026年10月18日に確認)
[注4]Sansan Tech BlogVol.00 Bill One 開発 Unit ブログリレーを開催します!!(2023年4月18日)
[注5]メルカリ mercanロードマップ経営に必要なのは、「ミッションを本気で達成する」と決める“狂気”(2022年7月28日)
[注6]パーソル総合研究所人事評価制度と目標管理の実態調査(2021年9月30日) 企業調査は2021年3月に実施
[注7]2026年10月18日にスタクラの求人一覧に載っていた2,290件(499社)の本文から集計
