「最終面接の前に、リファレンスチェックをお願いします」
応募先からこんな連絡が届いて、急いで調べている人もいるかもしれません。
今の会社にばれないか、誰に頼めばいいのか、これで落ちないか。
不安が一度に来るのも無理はありません。
先に答えると、リファレンスチェックは本人の同意がないと進められません。
答える人(推薦者)も、応募した本人が選んで頼むのが基本です。
この記事では、推薦者が聞かれることと、今の会社に知られずに進める頼み方を紹介します。
応募先への聞き方と、推薦者に送る依頼文の例も載せています。
経歴を調査機関が調べるバックグラウンドチェックとの違いも整理します。
- 目次 -
この記事でわかること
- リファレンスチェックとは何か
- 推薦者は何を聞かれるか
- 今の会社にばれずに進める方法
- 頼まれたときの準備5つと依頼文の例
- 断ったり落ちたりすることはあるか
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックは、応募した人と一緒に働いた上司や同僚に、応募先の企業がその人の働きぶりや人柄を聞く確認です。
答える人は、推薦者やリファレンスと呼ばれます。
面接だけでは見えにくい「一緒に働いたときの姿」を、知っている人の言葉で確かめるために行われます。
大事なのは、本人の同意がないと進められない点です。
厚生労働省の指針は、企業が応募者の情報を集める方法を次のように定めています。
職業紹介事業者等は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外の者から収集し、又は本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならないこと。
ここでいう「職業紹介事業者等」には、人を募集する企業も入ります[注1]。
本人以外の人から話を聞くには、本人の同意が要るということです。
転職サイトを運営するマイナビの2024年の調査では、中途採用の担当者の36.6%が「実施している」と答えました。
20〜50代の正社員のうち、受けたことがある人は31.5%です[注2]。
スタートアップの求人サイトのスタクラでも、公開中の求人2,310件を調べました。
そのうち5社の56件の求人票に「リファレンスチェック」と書かれていました。
教育事業を運営するRePlayceという会社は、行う理由を求人票にこう書いています[注3]。
※ハラスメント等のない、安心・安全な教育事業の運営を行うため、選考においてはリファレンスチェックを実施いたします。
リファレンスチェックでは何を聞かれる?
推薦者が聞かれるのは、主に業務の実績やスキル・勤務の様子・人柄・退職の理由の4つです。
聞かれることの例を、4つに分けて並べます[注4・注5]。
| 分け方 | 聞かれることの例 |
|---|---|
| 業務の実績やスキル | 担当した業務と実績・長所と短所・トラブルへの対応 |
| 勤務の様子 | 在籍した期間・欠勤や遅刻・締め切りを守るか |
| 人柄 | 職場での印象・協調性・上司や部下との接し方 |
| 退職の理由 | 辞めた経緯 |
答えるのは推薦者で、応募した本人ではありません。
ただ、面接で自分が話した実績や辞める理由と、推薦者の答えは並べて読まれます。
この表は、あとで推薦者に何を伝えておくかを決めるときにも使えます。
リファレンスチェックは今の会社にばれる?
同意が前提なので、応募先が勝手に今の会社へ問い合わせることはできません。
ばれるきっかけになりやすいのは、自分が今の会社の人に推薦者を頼み、そこから話が広がる場面です。
転職サイトを運営するエン・ジャパンは、『ミドルの転職』を使う35歳以上の人に聞いています。
そのうち43%が「同僚や上司に転職を考えていることがわかってしまう」をデメリットに挙げました[注6]。
今の会社に知られたくないなら、推薦者は次の順で考えます。
1. 前の会社の上司
2. 前の会社の同僚や部下
3. 今の会社で口外しないと信頼できる人
前の会社の人でもよいかは、応募先によって違います。
推薦者に連絡する前に、応募先にこう聞いておくと安心です。
今の職場にはまだ転職活動を伝えていないため、前の職場の上司に推薦者をお願いしてもよろしいでしょうか。
推薦者に相談している間も、ほかの会社の求人を見ておけます。
スタクラでは、独自の審査を通ったスタートアップの求人を掲載しています。
リファレンスチェックはいつどんな流れで進む?
スタクラの56件で、選考のどこに置かれているかを数えると次のとおりです[注3]。
| 選考の中の時期 | 件数 |
|---|---|
| 最終面接の前 | 21件 |
| 面接のあとでオファー面談の前 | 22件 |
| 時期の記載なし | 13件 |
オファー面談は、会社が働く条件を伝える面談です。
時期が書かれた43件は、どれも面接が進んだ後半に置かれていました。
進み方は、おおむね次の順です。
1. 応募先から推薦者の人数や期限の案内が届く
2. 推薦者を選んで了承を得る
3. 推薦者の名前と連絡先を応募先に伝える
4. 推薦者に質問が届いて答えを返す
5. 応募先が答えを読み選考の材料にする
ネットで回答を集めるサービスを使う会社もあります。
その1つに、back check株式会社が提供する「back check」というサービスがあります。
候補者が推薦者の名前とメールアドレスなどを入力すると、推薦者に回答を頼めます[注7]。
推薦者の人数は、応募先が決めます。
転職支援のJACリクルートメントは、外資系企業では通常2人ほどと説明しています[注8]。
バックグラウンドチェックとの違いは?
リファレンスチェックは、働きぶりや人柄を一緒に働いた人に聞く確認です。
バックグラウンドチェックは、経歴に偽りがないかなどを、第三者の調査機関に頼んで調べる確認です[注9]。
2つを続けて行う会社もあります。
衛星のデータを扱う天地人という会社の求人票には、こう書かれています[注3]。
※最終面接の前に、リファレンスチェックとバックグラウンドチェックを行います。
リファレンスチェックを頼まれたら何を準備する?
頼まれたら、次の5つを順に進めます。
①応募先に人数と期限を聞く
最初に、推薦者の人数・誰に頼むか・いつまでに答えが要るかを応募先に聞きます。
前の会社の人でもよいか、上司でなく同僚や部下でもよいかも、ここで確かめます。
今の会社の人に頼めないなら、まだ転職活動を伝えていないことを添えて、前の職場の人でもよいかを聞きます。
②推薦者を選ぶ
選ぶ基準は、応募する仕事に近い働きぶりを見ていた人です。
たとえば営業職に応募するなら、一緒に商談に出た上司や先輩が向いています。
2人頼むなら、上司と同僚のように立場の違う人を組み合わせると、偏りのない見方を伝えられます[注8]。
③推薦者に連絡して了承を得る
いきなり応募先から連絡が届くと、推薦者は驚きます。
先に電話かメッセージで事情を話し、了承を得てから名前と連絡先を応募先に伝えます。
依頼の文面は、たとえば次のような形です。
ご無沙汰しています。
〇〇です。
実は今、転職活動をしていて、応募先の会社からリファレンスチェックを頼まれました。
前の職場で一緒に働いていたので、推薦者をお願いできないでしょうか。
質問の届き方と回答の期限は、応募先からの案内をそのままお送りします。
今の会社にはまだ伝えていないので、内密にしていただけると助かります。
難しければ、遠慮なく断ってください。
断ってもよいと添えておくと、相手は無理をせずに返事を決められます。
④面接で話したことを推薦者に伝える
面接で話した実績や転職の理由を、推薦者にも伝えておきます。
業務の実績やスキル・勤務の様子・人柄・退職の理由の4つに沿って伝えると、推薦者が当時のことを思い出しやすくなります。
話を盛ってほしいと頼むのはやめましょう。
推薦者の答えが面接の話と食い違うと、かえって信用を落とします。
⑤推薦者にお礼と結果を伝える
推薦者が答え終わったら、すぐにお礼を伝えます。
選考の結果が出たら、受かっても落ちても結果を報告します。
推薦者は、次の転職でまた力を借りるかもしれない人です。
リファレンスチェックは断ってもいい?落ちることはある?
断ることはできます。
同意が前提なので、応募先は本人が断ったまま進めることはできません。
ただ、断ると選考に影響することもあります[注4]。
そのため断るときは理由を伝えて代わりの案を出します。
たとえば「今の会社には知られたくないので、前の会社の上司なら頼めます」という伝え方です。
落ちることもあります。
推薦者の答えも選考の材料なので、面接で話した実績や辞める理由と大きく食い違うと、不採用の理由になりえます。
④で面接の話を推薦者に伝えておくのは、この食い違いを防ぐためでもあります。
では、内定を出したあとのリファレンスチェックで、内定を取り消されることはあるのでしょうか。
取り消せる場合は、限られています。
厚生労働省のサイトは、内定の取り消しが争われた最高裁判所の判決の考え方を、次のようにまとめています[注10]。
採用内定を取り消せるのは、内定当時知ることができないか、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できるものに限られる。
つまり取り消せるのは、内定のときに知りえなかった事実があり、取り消すのが誰から見ても妥当と言える場合に限られます。
文中の解約権留保とは、内定のあとでも一定の理由があれば会社が取り消せるという約束のことです。
取り消しに納得できないときは、全国の労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーに無料で相談できます[注11]。
リファレンスチェックがあるかは応募前に分かる?
求人票に選考の流れが書かれていれば、応募前に分かることがあります。
企業のデータベースを提供するSalesNowという会社の求人票には、こう書かれています[注3]。
1. 書類選考
2. 面接(複数回)
3. リファレンスチェック
4. オファー面談
書いていない会社でも、面談で「選考にリファレンスチェックはありますか」と聞けます。
早めに分かれば、推薦者に頼む準備を前もって進められます。
1社の結果を待つ間も、ほかの会社と話を進めておけます。
登録すると、気になる会社に話を聞いたり、応募したりできます。
内定のあとに確かめたいことは、後悔しないスタートアップ転職のための3つの条件で紹介しています。
リファレンスチェックについてよくある質問
リファレンスチェックは違法ではないですか?
本人の同意を得て行えば、厚生労働省の指針どおりの集め方です。
指針は、本人の同意の下で本人以外から情報を集めることを認めています[注1]。
推薦者を頼める人がいないときは?
まず、応募先に事情を伝えて相談します。
上司でなく同僚や部下、前の会社の人でもよいかを聞くと、頼める人が見つかることがあります。
リファレンスチェックがあったらほぼ内定ですか?
内定が決まったわけではありません。
スタクラの求人で時期が書かれたものは面接が進んだ後半に置かれていましたが、推薦者の答えも選考の材料になります。
リファレンスチェックとは何かのまとめ
リファレンスチェックは、応募した人と一緒に働いた上司や同僚に、応募先がその人の働きぶりや人柄を聞く確認です。
本人の同意がないと進められず、推薦者も自分で選んで頼むのが基本です。
今の会社に知られたくないなら、前の会社の上司から順に考えます。
頼まれたら、人数と期限を聞き、推薦者を選んで了承を得るところから始めます。
今の選考と並行して、ほかの会社の求人も見ておくと、1社の結果に左右されにくくなります。
参考・出典
[注1]厚生労働省 新潟ハローワーク指針(平成11年労働省告示第141号)(抄) 個人情報の収集の方法の項と注1(2026年10月16日に確認)
[注2]マイナビキャリアリサーチLab2024年3月度 中途採用・転職活動の定点調査 企業は中途採用の担当者858人、個人は20〜50代の正社員1,382人。2024年4月1日〜2日に調査(2026年10月16日に確認)
[注3]2026年10月16日にスタクラの求人一覧に載っていた2,310件(審査を通って公開中のもの)から集計。求人の本文に「リファレンスチェック」がある56件(5社)を数え、選考の中の時期は求人票の書き方で分けた。件数は求人の数で、1社が複数の求人を出している
[注4]dodaリファレンスチェックとは?主な質問内容や実施方法を解説(2026年10月16日に確認)
[注5]マイナビ転職リファレンスチェックとは リファレンス先への質問内容の項(2026年10月16日に確認)
[注6]エン・ジャパンミドル世代に聞く「リファレンスチェック」実態調査 『ミドルの転職』を使う35歳以上の1,257人。2021年11月15日〜2022年1月4日に調査(2026年10月16日に確認)
[注7]back check株式会社back check(2026年10月16日に確認)
[注8]JACリクルートメント外資系転職のリファレンスチェック(2026年10月16日に確認)
[注9]ロバート・ハーフリファレンスチェックとは?質問内容や転職活動が会社にバレるのかを解説(2026年10月16日に確認)
[注10]厚生労働省 確かめよう労働条件大日本印刷採用内定取消事件 最高裁判所第二小法廷 昭和54年7月20日判決(2026年10月16日に確認)
[注11]厚生労働省総合労働相談コーナーのご案内(2026年10月16日に確認)
