転職先の選択肢9つと選び方。スタートアップ・ベンチャー・中小企業・大企業の違いは?

「スタートアップとベンチャーと中小企業と大企業って、転職先として何が違うの?」

私たちが運営しているスタートアップへの転職サービス「スタクラ」でも、よく受ける相談です。

調べても分からないのは、言葉の説明はたくさん出てきても、いまの会社と比べて入ったあとの毎日がどう変わるのかまでは書かれていないからです。

比べる軸がないと、どれも候補から外す理由が見つかりません。

転職サイトに登録しても、求人を開くたびに判断がつかず、応募まで進めないんですよね。

この記事は転職する側に向けて、スタクラの調査と転職した人の話をもとに、転職先9つを同じ軸で並べ直しました。

先に結論をいうと、9つは入ったときに仕組み(役割と制度)がどれくらい用意されているかで3つに分かれます。

読み終わるころには、自分が求める働き方から、見に行く先を2〜3個に絞れるようになります。

この記事でわかること

  • 転職先9つがそれぞれ何を表す言葉か
  • 9つは働く場として何が違うのか
  • 自分が求める働き方から転職先を選ぶやり方
  • どんな人にどのグループが合いやすいのか

スタートアップ・ベンチャー・中小企業・大企業は何が違うのですか?

まずは、転職先になる9つの言葉が何を表しているのかを整理します。

スタートアップとベンチャーは会社の成長の仕方を、中小企業と大企業は会社の規模を表す言葉です。

9つの言葉を1枚で整理した図。会社はまず規模で中小企業(法律で定義)と大企業に分かれる。どちらの規模にもかかる呼び名として、成長のしかた=スタートアップ(革新的な技術やアイデアで急成長を目指す企業)・ベンチャー(既存のビジネスモデルの延長で成長する企業)、育った大きさで付く呼び名=ユニコーン・メガベンチャー、生まれで付く呼び名=大学発スタートアップ、お金の出どころ=外資系がある。1つの会社にいくつも当てはまることがある。会社以外の団体としてNPO法人などがある(NPO法人は法律で定義。ソーシャルセクターには株式会社の形の会社もある)。

ほかの5つも含めて、表にまとめました。

9つの言葉を比べた表。スタートアップ:革新的な技術やアイデアで急成長を目指す企業/公的な定めはありません[注1]。ベンチャー:既存のビジネスモデルの延長で成長する企業/ありません。メガベンチャー:ベンチャーとして生まれて大きく成長した会社を指す通称/ありません。ユニコーン:設立10年以内で未上場のまま時価総額10億ドルを超えた企業[注1]/ありません。大学発スタートアップ:大学の研究成果や技術・学生・教職員などと深く関わる企業/国の調査に大学発ベンチャーとしての定義があります[注2]。中小企業:資本金か従業員数で分けた会社の規模/あります(中小企業基本法)[注3]。大企業:中小企業に当てはまらない会社/国の集計に区分があります[注4]。外資系:海外の会社が資本を持つ日本の会社を指す通称/国の調査に定義があります[注8]。NPO・ソーシャルセクター:不特定かつ多数のものの利益のために活動する団体/NPO法人はあります(特定非営利活動促進法)[注5]。

※一般的な使われ方を整理したもので、個々の会社にそのままあてはまるとは限りません。

法律で決まっているのは、中小企業とNPO法人の2つだけです。

大学発スタートアップ・大企業・外資系は、国の調査や集計の中で区分されています。

それ以外の7つは法律で決まった言葉ではないので、呼び名だけで候補から外すと、合う会社を見落とすことがあります。

小企業の範囲も、思っているより広いかもしれません。

たとえば製造業なら、資本金3億円以下か従業員300人以下のどちらかを満たせば中小企業です[注3]。

会社以外の法人と農林漁業を除いた企業の数で見ると、2021年6月時点で99.7%が中小企業です[注4]。

大企業は0.3%です。

スタートアップとベンチャーの違いをもう少し詳しく知りたい人は、スタートアップとベンチャーの違いまとめています。

9つは働く場として何が違うのですか?

言葉としての違いがわかったところで、ここからは転職先として差が出るところを見ていきます。

9つは、入ったときに仕組みがどれくらい用意されているかで3つに分かれます。

ここでいう仕組みは、次の2つを指します。

  • 役割…自分の担当がどこまでかという決まり
  • 制度…評価の基準や研修や休みの取り方などの社内のルール
入ったときに仕組みがどれくらい用意されているかで9つを3つに分けた図。これから作る=スタートアップ・大学発スタートアップ・ユニコーン。会社ごとに大きく変わる=ベンチャー・中小企業・NPO・ソーシャルセクター。先に用意されている=メガベンチャー・大企業・外資系。
  • 「これから作る」…スタートアップ/大学発スタートアップ/ユニコーン
  • 「会社ごとに大きく変わる」…ベンチャー/中小企業/NPO・ソーシャルセクター
  • 「先に用意されている」メガベンチャー/大企業/外資系

※この3つの分け方はスタクラの整理で、どのグループに入るかは同じ呼び名でも会社によって変わります。

「これから作る」の3つでは、決まっていないことを決めるところから仕事が始まります。

たとえば、担当の範囲や評価の基準そのものを、入った人が一緒に作ることもあります。

ユニコーンは社員の多い会社もありますが、伸びている途中で仕組みを作り続けている点でここに入れています。

「会社ごとに大きく変わる」の3つでは、役割の決まり方も制度の整い方も会社によって大きく違います。

小企業だけを見ても、社員が数人の会社から数百人を超える会社までが含まれています。

「先に用意されている」3つでは、入った人は決まった役割と制度の中で専門を深めていきます。

いま大企業で働いている人にとっては、いちばん近い働き方です。

スタクラでインタビューした人の中にも、大企業からスタートアップへ移った人がいます。

大手化学メーカーで法人営業と事業開発を10年経験したあと、スタートアップのエレファンテック株式会社へ移った人です[注6]。

前職と比べていちばん大きく変わった点を聞くと、こう話しています。

意思決定のスピードですね。

大企業だと、半年や1年ごとに戦略を立ててレビューしていく感覚で、クォーターごとでも早いという感覚です。

エレファンテックは、日々技術が進化していくし、週単位で大きなアップデートが入ることがある。

「来週にはやり方が磨き上げられているかもしれない」前提に動いているイメージです。

やり方がすぐに変わる環境を楽しめるかどうかは、どのグループを選ぶかの手がかりになります。

移るまでの話は、大手化学メーカーから転職した人のインタビュー読めます。

同じスタートアップでも、社員の少ない創業直後の会社と大きく伸びた会社では働き方が変わります。

フェーズごとの違いは、自分に合うスタートアップのフェーズまとめています。

スタートアップが候補に入りそうな人は、スタクラの企業一覧で、各社が次の3つのどのフェーズにいるかを見られます。

  • 創業フェーズ
  • ビジネスモデル確立フェーズ
  • 拡大フェーズ

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自分に合う転職先はどう選べばいいですか?

自分に合う転職先はどう選べばいいですか?

働く場としての違いが見えてきたら、次は9つのうちどれを見に行くかを決めます。

自分が求める働き方から探すと、9つのうち見に行く先を2〜3個に絞れます。

求める働き方から探すと2〜3個に絞れる。①求める働き方を1つ決める(例:決まっていないことを自分で決めて進めたい)。②当てはまるグループだけ見に行く。この例ではこれから作るグループのスタートアップ・大学発スタートアップ・ユニコーン。

求める働き方がまだ言葉にならない人は、いまの仕事で物足りないと感じる場面を1つ思い出してから表を見てください。

こういう働き方をしたいなら、ここを見に行く。決まっていないことを自分で決めて進めたい→スタートアップ。伸びている途中の会社で仕組みを作りたい→ユニコーン。研究や技術を事業にする仕事に関わりたい→大学発スタートアップ。いまある事業のやり方を土台に新しい事業を伸ばしたい→ベンチャー。特定の地域や業界に根ざして働きたい→中小企業。利益よりも社会の課題の解決で成果を測りたい→NPO・ソーシャルセクター。整った制度の中で決まった役割を深めたい→大企業。本社の仕組みのもとで担当をはっきり決めて働きたい→外資系。大きく育った会社で新しいサービスにも関わりたい→メガベンチャー。

こういう働き方をしたい 見に行く
決まっていないことを自分で決めて進めたい スタートアップ
伸びている途中の会社で仕組みを作りたい ユニコーン
研究や技術を事業にする仕事に関わりたい 大学発スタートアップ
いまある事業のやり方を土台に新しい事業を伸ばしたい ベンチャー
特定の地域や業界に根ざして働きたい 小企業
利益よりも社会の課題の解決で成果を測りたい NPOソーシャルセクター
整った制度の中で決まった役割を深めたい 大企業
本社の仕組みのもとで担当をはっきり決めて働きたい 外資系
大きく育った会社で新しいサービスにも関わりたい メガベンチャー
  • 当てはまる行が1つだった人…その見に行く先と同じグループの会社も見に行く
  • 当てはまる行が2つか3つあった人…その行に出ている見に行く先から見る
  • どの行にも当てはまらなかった人…下の表で3つのグループのどれが自分に近いかから見る
3つのグループに向いている人と向いていない人の表。これから作る:向いている人=決まっていないことを自分で決めて進めたい人/向いていない人=担当の範囲がはっきりしているほうが力を出せる人。会社ごとに大きく変わる:向いている人=事業や地域など何に関わるかで会社を選びたい人/向いていない人=どの会社に行っても同じ働き方ができることを求める人。先に用意されている:向いている人=整った制度の中で専門を深めたい人/向いていない人=役割や仕組みを作るところから関わりたい人。

スタートアップやベンチャーが候補に残った人は、スタクラの求人一覧で会社のフェーズごとに求人を探せます。

スタートアップの求人一覧を見る

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よくある質問

大企業とスタートアップはどっちがいいですか?

どちらが上ということはありません。

整った制度の中で専門を深めたい人には大企業が、決まっていないことを自分で決めたい人にはスタートアップが候補になります。

ユニコーンとスタートアップは別物ですか?

別物ではありません。

設立10年以内で未上場のまま時価総額10億ドルを超えたスタートアップを、ユニコーンと呼びます[注1]。

中小企業とスタートアップは重なりますか?

重なります。

創業したばかりのスタートアップも、中小企業基本法の定義では中小企業にあたります[注3]。

資本金か従業員数のどちらかが基準の範囲に入っていれば、中小企業になるからです。

スタートアップに移ったあとで大企業や中堅企業へ移る人はいますか?

います。

株式会社スタートアップクラスが2021年8月に行った調査で、次のことがわかっています[注7]。

  • 対象…2011〜2019年にスタクラ(当時の名前はアマテラス)と女性向けのママテラスを通じて転職した
  • 有効数…191
  • 大企業や中堅企業へ移った人…1割強
  • 移った時期…ほとんどが2年以内

転職したあとのキャリアの全体は、スタートアップ転職後のキャリア調査まとめています。

呼び名ではなく自分が求めるものから選ぶ

呼び名ではなく自分が求めるものから選ぶ

9つの違いは上下ではなく、向き不向きです。

整った環境で専門を深める人もいれば、仕組みがないところから作ることに面白さを感じる人もいます。

だから最初に決めるのは、会社ではなく、自分がどんな働き方を求めているかのほうです。

そこが決まると、9つのうち見に行く先は2〜3個まで減ります。

大企業や外資系が候補に残った人は、それぞれの会社の採用ページから見に行くのが早いです。

スタートアップやベンチャーが候補に残った人は、スタクラで掲載中の求人をまとめて見られます。

気になる会社には、無料の会員登録をすると話を聞きに行けます。

1社ずつ中身を確かめるときは、後悔しないスタートアップ転職のための3つの条件判断の材料になります。

参考・出典

[注1]日本政策金融公庫「スタートアップの創業のポイント」Vol.12
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou-point/202603/index.html

[注2]経済産業省「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査の結果を取りまとめました(速報)」(2025年6月6日)
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250606004/20250606004.html

[注3]小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

[注4]小企業庁「中小企業・小規模事業者の(2021年6月時点)集計結果を公表します」(2023年12月13日)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2023/231213chukigyocnt.html

[注5]内閣府NPOホームページ「特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要」
https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou

[注6]スタートアップマガジン「大手化学メーカー10年→8日で海外向けプレゼン。ディープテックスタートアップへ転職」(2026年6月15日)
https://startupclass.co.jp/article/2026/06/15/elephantech/

[注7]スタートアップマガジン【スタートアップ転職後のキャリア調査】87%がスタートアップ界隈で引き続き活躍」(2021年10月6日)
https://startupclass.co.jp/article/2021/10/06/career/

[注8]経済産業省「外資系企業動向調査 調査の概要」
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/gaiyo_2.html

いずれも2026年9月24日に閲覧しました。

この記事を書いた人

岡田 七海

岡田 七海

株式会社スタートアップクラス マーケティング部 スタートアップ転職メディア「スタートアップマガジン」の企画・編集・執筆を担当。