
「人が想像できることは、必ず人が実現できる」。この言葉を座右の銘に、研究者、そして起業家として幼少期から関心を寄せてきた途上国の健康課題に向き合い続けている荏原代表。
途上国の健康問題に本気で向き合い、電気や水が充分に無いような環境でも使える医療技術をつくり普及させる。その想像を現実にするため、研究室にとどまらず、起業という手段を選びました。
目指すのは、単なる技術開発ではありません。テクノロジーの力で、世界の健康格差に挑むこと。その挑戦の背景と、共に歩む仲間への想いを紐解きます。

代表取締役社長
荏原 充宏氏
早稲田大学大学院にて博士後期課程を修了。ワシントン大学、大阪大学医学部附属病院未来医療センター、物質・材料研究機構(NIMS)などで、20年以上にわたりスマートポリマーの研究に従事。2024年にSPHinX株式会社を創立し、代表取締役社長に就任。

SPHinX株式会社
https://www.sphinx-tsukuba.co.jp/
- 設立
- 2024年04月
失われる命を救うため、私たちはNIMSで開発されたスマートポリマーを用いて革新的なヘルスケア技術を提供。特に、感染症の早期診断精度を飛躍的に向上させるSmart ∞™技術は、中東・アフリカ諸国で高い評価を受けています。場所やインフラに依存しない材料科学の力を最大限に活用し、Global Healthに革新をもたらすことを目指しております。
- 目次 -
これまでの経験・原体験:想像した未来を、現実にするために
原体験と研究者の道に進まれたきっかけを教えてください。
子どもの頃から、医療や途上国支援には自然と関心がありました。当時はテレビで、栄養失調やエイズといった課題に対して「支援しましょう」というCMがよく流れていて、宇宙やロケットよりも、そうした現実の問題のほうが気になっていたんです。今思えば、かなり早い段階から医療や社会課題に意識が向いていたのだと思います。
研究者の道を選んだ大きなきっかけは、大学受験のときでした。医師という選択肢も考えましたが、医師は「今治せる病気を治す」存在であって、治せない病気はどうしても残ってしまう。そのときに、「治せない病気を治したい」と強く思って、医者よりも研究の道に進みたいと考えるようになりました。
価値観の原点になっている言葉や体験はありますか?
価値観の原点になっているのは、フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの言葉である「人が想像できることは必ず人が実現できる」です。これは今も座右の銘で、未来を想像し、それを現実にしていく姿勢はとても大切にしています。

創業した理由:途上国で使えるモノをつくるという決断
研究者から「起業」という選択を選ばれた背景を伺いたいです。
NIMSで研究を続ける中で、研究成果を社会に届ける難しさには何度も直面しました。研究としては面白い、技術的にも価値がある。けれど、それがそのまま実用化されるかというと、そう簡単ではありません。企業が関心を持ってくれればバトンタッチできますが、「感染症診断×途上国」というテーマは、どうしても利益化が難しいと見られてしまう。なかなかパートナーが見つからない現実がありました。
仮にパートナーが見つかっても、日本向けの発想に寄ってしまうことが多かったです。日本の医療環境を前提にした製品設計になり、「本当に届けたい場所」で使えなくなってしまう。であれば自分たちで起業すればできるんじゃないか、と思い実現のための手段として起業しました。NIMS自体がスタートアップを後押しする流れにあったこともあり、「研究者が起業する」という選択肢が、現実的なものとして見えるようになっていたのも大きかったですね。
グローバルヘルスへの関心が、今の事業として強く結びついた出来事はありますか?
グローバルヘルスへの関心が、今の事業と強く結びついたのは、20代後半でアメリカに留学したときです。ビル・ゲイツ財団が関わる途上国医療プロジェクトに参加したのですが、そこで「電気がなくても合成できるの?」「汚い水でも反応するの?」といった質問を次々に受けました。
そのときに、自分の発想が日本のような恵まれた環境を前提にしていたことに気づかされたんです。そこから「どんな環境でも使えるものを考えよう」というマインドに切り替わりました。

今後のビジョン:テクノロジーでグローバルヘルスを変えていく
今後のビジョンを教えてください。
「テクノロジー」という普遍的な力を武器に、グローバルヘルスに変革をもたらしたいと考えています。紛争下であっても水は100度で沸騰し、戦争が起きても太陽は東から昇ります。同様に、テクノロジーは普遍的です。時間はかかっても、この信念だけはブレることなく、理想の未来を追い続けたいと考えています。
実現に向けて具体的な壁はありますか。
事業を進める中で強く感じている壁は、技術そのもの以前に、価値観や社会システムの違いです。途上国では、たとえ致死性の高い感染症があったとしても、「防ぐべきもの」と認識されていなければ、検査や診断にお金は払われません。死や病気に対する価値観が違うことで、「余計なお世話」と受け取られてしまうことも、実際にあります。
ナイジェリアの村では、「目に見えないウイルスが体に入る」という概念自体が、ほとんど存在しないと感じました。医療機関で検査を受けながらタトゥーを入れ合っていたり、家族で歯ブラシを使い回していたりする。そうした環境では、どれだけ性能の良いキットや薬があっても限界があります。まずは「手を洗いましょう」という、生活や教育のレベルから向き合う必要があるのです。
本来、教育の普及や価値観の醸成は、WHOやユニセフといった国際機関が担うべき領域かもしれません。しかし、そこに境界線を引いて静観しているだけでは、現実は前に進まない。僕自身は研究者であり、科学者です。政治や経済の論理に委ねるのではなく、テクノロジーという普遍的な正義で、目の前の課題を突破していきたいと考えています。
求めている人材:志を集結させ、世界の反対側へ
理想の組織像を伺えますか?
理想の組織は、会社が細かく指示を出すのではなく、ベクトルだけを示して、社員一人ひとりが自分で判断して動ける組織です。命令系統で縛るよりも、そのほうがユニークな挑戦が生まれると思っています。
どんな方に参画してほしいですか?
一緒に働きたいのは、まず自分自身のキャリアの目的や「志」を持っている人です。どれだけ優秀でも、モチベーションがなければ正直厳しい。夢やゴールは壊れることもありますが、志は自分の中に残り続けるものだと思っています。
また、今のチームにない専門性、例えばビジネスや経営、法律といった分野の方にもぜひ参画してほしいですね。研究だけでは越えられない壁を、一緒に越えていきたいです。
今このタイミングで貴社に入る魅力は何ですか?
今このタイミングで入る魅力は、日々世界が広がり、アフリカがどんどん近くなっていく感覚をリアルタイムで味わえることだと思います。地球の反対側が、急に自分ごとになる。そのワクワクを、会社の成長とともに体験できるのは、大きな魅力だと思っています。


SPHinX株式会社
https://www.sphinx-tsukuba.co.jp/
- 設立
- 2024年04月
失われる命を救うため、私たちはNIMSで開発されたスマートポリマーを用いて革新的なヘルスケア技術を提供。特に、感染症の早期診断精度を飛躍的に向上させるSmart ∞™技術は、中東・アフリカ諸国で高い評価を受けています。場所やインフラに依存しない材料科学の力を最大限に活用し、Global Healthに革新をもたらすことを目指しております。
