【東北・北海道】大学発ディープテック特集

東北・北海道から、最先端の技術革新を生み出す大学発スタートアップが続々と登場しています。特に、深い研究と高度な技術を基盤とする「ディープテック」分野では、世界をリードする可能性を秘めた企業が次々と誕生しています。再生医療、AI、量子技術、カーボンニュートラルなど、社会課題を解決する最新技術を武器に、地域からグローバル市場を目指す動きが加速しています。厳しい自然環境や豊富な研究資源を活かしたイノベーションが、未来を切り拓こうとしています。

世界トップの技術者集団|株式会社FingerVision

少子高齢化が進む中、製造業や運送業など様々な業界が深刻な人材不足に陥っています。そこで近年注目を集めているのが、ロボット産業です。特に、暑熱、寒冷、多湿、高騒音、高振動といった劣悪な労働環境や危険度が高く過酷な作業については、ロボットによる代替が期待され続けてきました。

しかし、いざロボットの活用を検討してみても、人の代わりに作業できるほどの行動生成能力がなく、実装にまで至らないというケースも多く見られていました。その大きな原因の一つが、ロボットの「触覚」の⽋如です。

その問題を解決するべく、「画像(カメラ)をベースに触覚を再現する」大学発の先進技術を実用化し、ロボットや機械の実社会における適用領域を広げようと取り組んでいるスタートアップがあります。それが、株式会社FingerVisionです。

同社の代表取締役である濃野 友紀氏は、幼少期から「先端技術」に対する思い入れを強く持ちつつ、ボストン・コンサルティング・グループ(以下、BCG) などでビジネス経験を多数積んでこられた実績のある方です。

今後さらに加速するロボット化、AI化の流れの先に、濃野氏はどのような未来を描くのか。大学発の「視触覚」技術の実用化を目指すに至った経緯や創業後の壁などについて、詳しくお話を伺いました。

世界に挑むチャンスを|東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社

2022年に決定された「スタートアップ5か年育成計画」を皮切りに、日本全国で起業支援の波が起きています。特に東北六県における勢いは顕著であり、仙台市では、郡市長自らスタートアップへの手厚いサポートを約束しました。

しかし、地方におけるムーブメントを他県から享受するには、どうしたらいいのでしょうか。その答えの一つとして、「EIR(客員起業家)」という選択があります。EIRは、起業を目指す人材がVCや事業会社等に一定期間所属し、所属組織のネットワークを活用しながら起業を目指すやり方であり、様々なサポートを受けられるため、起業未経験のかたでも挑戦しやすい方式といえます。

今回は、東北大学ベンチャーパートナーズにEIRとして在籍している妹尾浩充さんをお招きして、EIRという起業手段の実際と、なぜEIRを選んだのか、そして地方から今、大学発ディープテック創業を目指すべき理由についてお話いただきました。

最新の素材・デバイス研究の力で世界に|東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社

2022年に決定された「スタートアップ5か年育成計画」を皮切りに、日本全国で起業支援の波が起きています。特に東北六県における勢いは顕著であり、仙台市では、郡市長自らスタートアップへの手厚いサポートを約束しました。

そうしたムーブメントの中、東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP)は「東北地域の国立大学に眠っている研究成果を使って革新的イノベーションを起こし、大学発ベンチャーを継続的に輩出するためのエコシステムを形成する」という目的のもとに生まれました。素材やデバイス・半導体といったディープテック分野に特に強みを持っている東北大の研究をベースに社会課題を解決し、新たなビジネスを興すというミッションに挑戦しています。

今回は、THVPにて投資を担当している長浜勉氏へ、従来のVCとは違ったTHVPならではの特長や、東北地方に眠っている可能性、そして、東北大発ディープテックで働くことで得られるものなどについてお話いただきました。

がん治療の世界に新たなイノベーションを|アイラト株式会社

医学の発展により、人類は様々な病気に打ち勝ってきました。過去には不治の病とされた病気でも、現代では治療法が確立され、日に日に人類は病という恐怖から解放されつつあります。しかし、医学の進んだ現代においても猛威を振るっているのが、がんという病気です。

がんの主な治療方法には、外科手術、化学療法、放射線療法の三つがあり、アイラト株式会社は、その中でも放射線療法の最適化に多数の知見を持っています。東北大学のビジネスインキュベーションプログラムに採択された後、会社設立から資金調達まで順風満帆に進んだように見えるアイラトですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。

今回は、アイラト創業者の一人である角谷倫之さんに、今の自分を形作った原体験から、創業より乗り越えてきたいくつもの壁、そして将来の展望について詳しくお話いただきました。

この記事を書いた人

根岸やすゆき


根岸 やすゆき

2003年、エン・ジャパン株式会社に入社。制作部門長、プロモーション本部長を歴任。2013年、ランサーズ株式会社に参画。取締役CMOを経て、現在はCEvO(チーフエバンジェリストオフィサー)として、個人の働き方、組織や事業の作り方を全国に広める活動に従事。2023年4月よりCMOに就任し、2024年9月よりCCO(Chief Communication Officer)として主に対外コミュニケーションを通してのプロモーション戦略・関係構築を担当。