メガバンク10年→入社2年で執行役員へ。スタートアップ転職のリアル

株式会社スマートラウンド執行役員VP of Revenue 中尾 直樹氏

「銀行員として伴走できるのは、せいぜい3年か4年。本当に伴走したい会社の、その先まで見届けることはできない」。
メガバンクで10年。法人営業として、複数の支店で経営者と並走し、特にスタートアップ支援に深くやりがいを感じてきた中尾さんは、2024年7月、スタートアップ・スマートラウンドへ転職した。
入社2年弱で執行役員 VP of Revenue(売上責任者)に就任。インタビュー当日が、ちょうどその新体制初日だった。
大企業10年の先に、スタートアップで何が起きたのか。家族の不安をどう超えていったのか。「支援者から、当事者へ」と歩んできた中尾さんに、転職の決め手から、これからの挑戦、地元・北九州への想いまで聞いた。

中尾 直樹氏

執行役員VP of Revenue
中尾 直樹氏

新卒でメガバンクに入行し、国内各支店で勤務。2024年7月にスマートラウンドへ入社。投資家カスタマーサクセスを担当し、VC・CVCを中心とする投資家ユーザーへの導入支援および活用定着、プロダクトフィードバックの集約を主導。投資家チームのリーダーとして、投資家サイドのレベニュー基盤を牽引。2026年5月、執行役員VP of Revenueに就任。

株式会社スマートラウンド

株式会社スマートラウンド

設立
2018年05月
社員数
30〜 50人(2026年5月時点)

「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」をミッションに、スタートアップ向け・投資家向けの Comment start SaaS Comment end プラットフォーム「smartround」を展開。フルリモート組織として、AI活用を前提とした柔軟な働き方を実践している。

銀行員10年、経営者と並走するなかで芽生えた「最後まで見届けたい」という想い

スタクラ:

これまでのキャリアを簡単に教えてください。

中尾 直樹:

2015年に新卒でメガバンクに入社して、そこから10年弱、ずっとメガバンクで働いていました。基本的には支店勤務で、法人向け営業をずっと担当してきました。国内で2、3の支店を経て、2024年7月にスマートラウンドへ転職した、という流れになります。

スタクラ:

そもそもメガバンクを選ばれた理由は、どういう思いからだったのですか?

中尾 直樹:

きっかけはこれといって強いものがあったわけではなくて、キャリアのスタートとして銀行はすごく良いんじゃないかと思っていたんです。広くいろんな業種・業態を見ることができるし、若いうちからいろんな経営者と話をして、提案する機会がある。そういう環境で働きたかったので、銀行を選びました。

スタクラ:

スタートアップ支援に関わるようになったのは、銀行員時代のどのあたりからだったのでしょうか。

中尾 直樹:

2つ目の支店時代に、スタートアップ支援にしっかり関わるようになりました。それがすごく面白かったんです。やっぱりスタートアップの経営者の方の、「こういうものを作っていきたい」「こうやって世の中を変えていきたい」というマインドに、すごく共感できることが多くて。銀行員として何かできる限りサポートしたいと思って働いていました。

ただ、銀行員として一つの会社に伴走できるのは、長くても3〜4年が限界なんですよ。スタートアップが本当に行き着く先まで見届けることはできない。そこへの「もどかしさ」を、ずっと持っていた気がします。

だったら自分自身がスタートアップの中に入って、一緒に事業を作ったり、ビジネスを動かしていく方が面白いんじゃないかと。それが転職を考えはじめた、いちばん大きなきっかけです。

「スタートアップへ」が先にあった、家族との対話と、スマートラウンドのミッションへの共感

スタクラ:

大企業からスタートアップへの転職に、不安はありませんでしたか?

中尾 直樹:

珍しいパターンかもしれないんですが、実はほぼなかったんです。むしろ僕の場合、「スマートラウンドに」というよりも、「スタートアップで働きたい」という気持ちの方が先にあったので、その意味で不安は少なかったですね。

むしろ大企業の中で、自分のキャリアを自分で選べないことの方が、自分にとっては不安だったんです。大企業の人事の流れに乗っていると、「自分がやりたいキャリア」と「実際に歩んでいるキャリア」がズレていく場面が出てくる。そちらの方が、自分にとっては避けたい状態でした。

スタクラ:

お子さんもまだ小さい時期だったのではと思いますが、ご家族は不安もあったのではないでしょうか。どんなふうに話されましたか?

中尾 直樹:

ちょうど子どもが1歳になる前ぐらいでしたね。妻は、最初は結構不安だったと思います。なので、ここはかなり丁寧に話しました。

転職先がどんな会社であっても不安は与えてしまうと思います。そのためスマートラウンドという会社について丁寧に説明をしました。フルリモートということや、メンバーに子育て世代が多く柔軟な働き方ができること。これがいちばん大きかったと思います。

妻もスマートラウンドという会社をある程度理解してくれたので納得してもらえたと思います

スタクラ:

いろんな会社の中で、スマートラウンドを選んだ決め手はどこにあったのですか。

中尾 直樹:

いちばんはミッションへの共感です。「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」という、スマートラウンドのミッション。

スタートアップの中に入って事業を動かしていきたい、という気持ちがあった一方で、銀行員としてずっと持ってきた「支援者目線」も、自分の中にずっとあったんですよね。

スマートラウンドは、その2つが両立する場所でした。スマートラウンド自身もスタートアップとして事業をやっているんですが、その事業内容そのものが、「他のスタートアップのため、スタートアップエコシステムのため」を目的としている。
そこに、すごく強く共感したのが決め手でしたね。

スタクラ:

スタクラとの出会いも、銀行員時代からだったとか。

中尾 直樹:

そうなんです。当時のお客様がスタクラに求人を出していらして、自分も業務の中で見ていたので、知っていたんですよ。「ここに求人を載せているということは、ちゃんとファイナンスを進めている会社だな」みたいな感じで、銀行員としての営業の参考にもさせてもらっていて(笑)。なので、いざ自分が転職するときも、いいスタートアップがちゃんと登録されている場所として、自然にスタクラを使うことになりました。

銀行員10年の経験は、スタートアップ転職で通用するか

「即戦力ギャップ」とどう向き合ったか、職種を切り替えた中尾さんの判

スタクラ:

実際の転職活動はどうでしたか?

中尾 直樹:

思ったより大変でした。元々は、ファイナンス系の経験を活かして、スタートアップの管理部門のキャリアを描けないかと考えていたんですが、銀行の経験10年だけだと、スタートアップ側が求める「即戦力」の基準とはやはりギャップがあって。そこを自分の言葉で説明していくのは、思っていた以上に難しかったですね。

スタクラ:

銀行員からスタートアップへの転職を考えている方が、まさにぶつかる壁ですね。

中尾 直樹:

ただ、考え方を変えて、規模の小さいスタートアップであれば、「最初は自分にできる仕事から入って、組織が必要としているところに広げていく」という入り方もある、と。そう思えたことで、営業やカスタマーサクセスからキャリアを始めるという選択肢が見えてきて、結果的にそれがスマートラウンドへの入社につながりました。

スタクラ:

最初から管理部門に固執しなかったことが、結果的に道を広げた。

中尾 直樹:

はい。スタートアップは人数が少ないからこそ、最初に入った職種にとどまり続けるとは限らない。中で必要なポジションが出てきたときに動ければいい、というふうに割り切れたのが大きかったと思います。

取材当日の執行役員「VP of Revenue」就任。スタートアップの売上責任を担う重みとは

スタクラ:

現在のお仕事を教えてください。

中尾 直樹:

スマートラウンドのビジネスサイドには大きく3つの組織があります。スタートアップ向けサービスの営業・CS、投資家向けサービスの営業・CS、そして子会社のセカンダリー事業。

このうち、SaaSビジネスをベースにしている「スタートアップ向けサービス」と「投資家向けサービス」を、今回「プラットフォーム事業部」としてまとめて、その統括として両方を見ることになりました。

ちょうど今日からなんですが(笑)、役職としては、執行役員 VP of Revenue。レベニューサイドの責任者という立て付けです。

スタクラ:

すごい。本当に今日からなんですね。

中尾 直樹:

はい。だから「今日からどう動くか」、まさに今、考えているところで(笑)。

スタクラ:

ここまでの2年は、どんなキャリアの動きだったんでしょうか。

中尾 直樹:

入社時は投資家向けのカスタマーサクセス担当として入り、入社からちょうど1年後の2025年7月頃に、組織変更で投資家向けの営業とCSを統括することになりました。当時はマネジメントというより、自分も普通に営業もCSもやっている、プレイングマネージャー的な動きでしたね。そこから今回、スタートアップ側の営業・CS・マーケティングも含めて全部を見るかたちになった、というイメージです。

スタクラ:

前職と比べて、いちばん変わったと感じる点はどこですか?

中尾 直樹:

 ひとつは働き方ですね。スマートラウンドは完全なフルリモートなので、社内の文化そのものがリモートを前提に作られている。これは、人と机を並べて働いていた頃とは、まったく違う体験です。
もうひとつは、これは僕が「転職して本当に良かった」といちばん思っているところなんですが、AIツールの使い方ですね。新しいツールが出たら、すぐに使ってみる。陳腐化したらやめる。固定化せずに、柔軟に、流動的に使い分けながら仕事をしている。この感覚は、銀行ではあり得なかった文化です。

スタクラ:

大企業に残っていたら、この変化のスピードについていけなかったかも、と。

中尾 直樹:

そうなんですよね。AIがプロダクトやサクセスのあり方を、これからどう変えていくのか。その渦の中で働けていること自体が、ものすごく面白いです。

スタクラ:

今、仕事の中でいちばん難しいと感じていることは何ですか。

中尾 直樹:

今回の役割そのものですね。プラットフォーム事業部は、ビジネスサイドで売上に責任を持つチームです。僕の役職もVP of Revenue、まさに売上の責任者。
スタートアップにおける売上は、本当に生死を分けるところだと思っています。自分たちのチームでトップラインを上げられれば、会社は次のステージに進めるし、上げられなければ、そこで終わってしまうかもしれない。その責任を持っている、というのは、すごく難しいことでもあるし、すごくやりがいのあることでもあります。

スタクラ:

入社後で、特にしんどかったタイミングはありましたか?

中尾 直樹:

「嫌なしんどさ」はほぼないんですが、構造的に大変だった時期はあります。2025年夏ごろに、投資家サイドのチームメンバーが大きく入れ替わった時期があって、トップラインの責任を負いながら組織を立て直していくのは、それなりにタフな経験でしたね。ただ、それがあったからこそ、自分のやれる範囲も広がりましたし、結果的にチャレンジの機会が増えたとも思っています。

スマートラウンドで、スタートアップのインフラへ。そして、いつかは地元・北九州へ

スタクラ:

スマートラウンドでこれから挑戦していきたいこと、実現したいビジョンを教えてください。

中尾 直樹:

スマートラウンドはずっと、「スタートアップのインフラを目指す」と掲げてやってきていて、元々のSaaSビジネスはおかげさまでお客様にも広く使っていただける段階まできています。
この基盤を活かして、より業界が良くなる、エコシステムが良くなる方向にどう貢献していけるか。インフラとしての役割を果たせる新しいサービスやプロダクトを、どんどん作っていきたいと思っています。

スタクラ:

中尾さんご自身のキャリアの観点だと、5年後・10年後はどんなふうに歩んでいたいですか?

中尾 直樹:

正直、5年後・10年後にスマートラウンドで働いている可能性もあると思っています。一方で、個人的には、いつかは地元の北九州に戻って、地元経済の活性化とか、地元を盛り上げる仕事をしたいなと思っているんです。

スマートラウンドに転職したことで、その選択肢がぐっと広がった感覚があります。前職に残っていたら、おそらく「そのまま残るか、辞めて地元の会社に行くか」の二択だったと思うんですよ。でも今は、副業もあれば、自分で会社をやる選択肢もあるし、関わっている投資家やスタートアップの方々と一緒に何かを始める道もある。能力的にもできることが増えてきている実感があります。

スマートラウンドでの経験が、地元での挑戦へと繋がっていきそうだなと感じています。

「スタートアップだから」ではなく、「合うか合わないか」

スタクラ:

スタートアップへの転職を悩んでいる方に、いちばん伝えたいことは何でしょうか。

中尾:

スタートアップへの転職か、大企業への転職か、という二元論には、もうあまり意味がない時代になっていると思っています。

待遇面も、もう昔ほど大きな差はなくなってきましたし、キャリア上の選択肢も、それぞれの場所に違った広がりがある。しかも、大企業とスタートアップの間で行き来できる時代でもある。

「スタートアップだから不安」とか、「スタートアップだから特別」みたいに大きく構える必要は、もうないと思っています。

スタクラ:

横並びで比較する、と。

中尾:

はい。A社・B社・C社と並べてみて、自分のやりたいことや、自分にできることに、いちばん合っている会社を選ぶ。それだけだと思います。スタートアップというくくりよりも、「合うか・合わないか」を、働き方・人間関係・事業フェーズの解像度で見たほうがいいんじゃないかなと。

スタクラ:

最後に、この記事を読んでいる転職検討者の方へ、メッセージをお願いします。

中尾:

スタートアップエコシステムにとって、いちばん大事なのは人材の流動性だと、僕は思っています。大企業でしっかり経験を積んだ方が、その経験をスタートアップに持ち込んでくれること自体が、業界全体にとってすごく良いことなんです。
身構えすぎず、「自分のやりたいこと」「自分のできること」がそこにあるかどうか、フラットに見てもらえたらと思います。

編集後記

取材を終えて印象に残ったのは、「スタートアップだから不安、ではない時代」という中尾さんの言葉でした。大企業出身者にとってスタートアップへの転職は、まだ「大きな決断」として語られがちですが、中尾さんはその枠組み自体をもう一段アップデートしてくれているように感じました。

奥さまへの「メルカリだったらいいの?」というエピソードのように、抽象的な不安は、具体的な会社の解像度で解けていく。これは転職検討者だけでなく、スタートアップで採用に向き合っているすべての担当者にも刺さる視点だと思います。

そして取材日が、ちょうど執行役員 VP of Revenueへの就任当日。スタートアップ支援の銀行員から、スマートラウンドの売上責任者へ。「支援者から、当事者へ」と歩んできた中尾さんが、これからエコシステム全体にどんな手応えをつくっていくのか。続編が楽しみな取材でした。(スタクラ編集部 池田)

スマートラウンドが求める仲間像

現在スマートラウンドでは、投資家向け業務やコーポレート代行の実務をご一緒いただける方を募集しています。金融バックグラウンドのある方は、これまでの経験を活かしやすいフェーズです。

大事にしたいのは、年齢よりも「自分で考えて、トライアンドエラーできるかどうか」。やりたい施策を自分で考え、実行し、その結果からまた次を考える、そういう動き方ができる方と一緒に働きたいと思っています。

「銀行で『こういうことをやりたい』と上司に伝えても通らない」という感覚にフラストレーションがある方には、スタートアップという場所は、ものすごく合うはずです。

スタートアップ転職を考えはじめた方へ

独自審査を通過した社会課題解決型スタートアップのみを掲載。銀行員・金融出身の方の転職事例も多数。

中尾さんのように、「自分のやりたいこと」「自分にできること」を軸にキャリアを選びたい方へ。スタクラは厳選したスタートアップの求人をお届けしています。

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取材協力:

株式会社スマートラウンド

「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」をミッションに、スタートアップ向け・投資家向けのプラットフォーム「smartround」を展開。フルリモート組織として、AI活用を前提とした柔軟な働き方を実践している。

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この記事を書いた人

池田 真


池田 真

中央大学卒業後、国家公務員(国土交通省)として5年半勤務。 「組織と人」への関心が募り、組織開発を行うベンチャーに飛び込み法人営業を経験後、リクルートのグローバルブランドであるRGFにて両面型エージェントを経験。 現在、志を持つ起業家/スタートアップと、スタートアップに関心がある候補者の支援に従事。 『運命を変えていくものは、ただ一つ私たちの心であり、人生は自分でつくるもの』という稲盛和夫さんの言葉が好き。 スタートアップへの想い:外部者としてではなく「当事者」として、スタートアップの成長支援に尽力します!

株式会社スマートラウンド

株式会社スマートラウンド

設立
2018年05月
社員数
30〜 50人(2026年5月時点)

「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」をミッションに、スタートアップ向け・投資家向けの Comment start SaaS Comment end プラットフォーム「smartround」を展開。フルリモート組織として、AI活用を前提とした柔軟な働き方を実践している。