日本最大級のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」がスタートアップの未来をつくる

STATION Ai株式会社インキュベーション事業推進部スタートアップ支援課 コミュニティマネージャー 加藤 大貴氏

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700社を超える国内外のスタートアップ企業、パートナー企業、VC等の支援機関や大学等が参画する”国内最大級のオープンイノベーション拠点”として、大変注目を集めている「STATION Ai」。

愛知・東海エリアの既存産業と新規事業を融合させ、新たな価値を生み出すハブとなることを目指し、2024年10月に名古屋市鶴舞に開業しました。

今回お話を伺ったのは、STATION Ai株式会社 インキュベーション事業推進部で採用支援領域を担当している加藤大貴氏。提供されているワークスペースの特徴や支援内容、コミュニティマネージャーとしての取り組みなどについて、ざっくばらんにお話しいただきました。

加藤 大貴氏

インキュベーション事業推進部スタートアップ支援課 コミュニティマネージャー
加藤 大貴氏

1990年愛知県生まれ。立命館大学経済学部を卒業後、レバレジーズ株式会社(現:レバテック株式会社)に新卒入社。 その後、株式会社リクルートにて採用支援事業、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)の人事部にて新卒・中途採用を経験。 2023年10月から愛知県のプロジェクトでソフトバンクが推進している日本最大級のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」の事業にJOIN。 現在はスタートアップ支援課にて、入居スタートアップへの採用支援領域の責任者として活動。

STATION Ai株式会社

STATION Ai株式会社
https://stationai.co.jp/

≪事業概要≫
名古屋 鶴舞にある日本最大級のオープンイノベーション拠点。スタートアップ企業の創出育成およびオープンイノベーションの促進を目的に様々な支援サービスを提供。
スタートアップをはじめとする新規事業創出に取り組む人々のためのオフィス、フィットネスジム、テックラボに加え、一般の方も利用可能なカフェ・レストラン、ホテル、イベントスペース、あいち創業館が併設されている。

≪アクセス≫
愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目2番32号
JR鶴舞駅(STATION Ai前 駅)から徒歩6分 ※名古屋駅から2駅

スタートアップ成長支援の”ハブ”としての役割

スタクラ:

はじめに、STATION Aiの特徴やスタートアップ支援の取り組み、ビジョンについて教えてください。

STATION Ai株式会社 インキュベーション事業推進部スタートアップ支援課 コミュニティマネージャー 加藤 大貴氏:

STATION Aiは、日本最大級のオープンイノベーション拠点として、2024年10月、名古屋市の鶴舞に開業しました。

現時点で入居しているスタートアップの数は約500社、パートナー企業は200社以上あります。今後も数を増やしていく予定で、2029年にはスタートアップの入居数を1,000社まで伸ばすことを目指しています。「5年後に2倍」という、結構チャレンジングな目標ですね。

愛知県に本社を置いている企業のほかにも、東京をはじめ県外や海外からも多くのスタートアップが集まっていることが特徴です。

「オープンイノベーションの推進」をミッションとして掲げており、スタートアップだけでなく、様々な事業会社をはじめ金融機関や大学・研究機関、また自治体などとも連携することで共創やイノベーションを生み出しやすい環境があります。

スタートアップについても、シード・アーリー、ミドル、レイター各ステージで抱えるそれぞれの事業課題に対してワンストップでサポートできる体制があるということが、STATION Aiの大きな強みであると考えています。

具体的なサービス内容としては、事業や資金調達についての相談、グローバル展開支援、採用支援、顧客の紹介などが代表的なものです。

名古屋市には、STATION Aiのほかにも小学校をリノベーションした「なごのキャンパス」と呼ばれるインキュベーション施設があるなど、スタートアップを応援する機運のあるエリアです。その中でもSTATION Aiは中心に位置していることもあり、様々な支援施設のハブとして、スタートアップの成長支援やオープンイノベーションの促進などを担っていければと考えています。

コミュニケーションを意識した設計と工夫で、自然にオープンイノベーションが生まれる

スタクラ:

入居者に提供している支援の特徴について教えて下さい。

加藤 大貴:

STATION Aiのワーキングスペースの特徴として、オープンイノベーションを目的としているため、コミュニケーションが取りやすいよう設計されています。

例えば、単純に階段を設けるのではなく、スパイラル状にスロープを配置しています。これにより、他の入居者さんと顔を合わせやすくし、コミュニケーションの機会増加を狙っています。また、近くにイスを配置しているのは、ちょっとした立ち話から本題や要談にスムーズに進んでいけるようにする工夫です。

こうした環境により、スタートアップとパートナー企業の間で自然発生的にオープンイノベーションが生まれるようになればという思いがあります。

また、各スタートアップが自分たちの魅力を発信したりイベントを開催したりできるようにと、イベントスペースも数多く用意しています。もしイベント後にもっと話がしたいという場合には、施設内に飲食店や宿泊施設もありますので、そちらで話の続きを聞くこともできます。事業について困ったことがあればすぐに専門家に相談もできますので、入居するスタートアップにとってはとても良い環境だと感じてもらえるはずです。

STATION Aiの施設構造について

STATION Aiの施設構造について

人材採用領域での経験を活かし、STATION Aiへジョイン

スタクラ:

続いて、加藤さんご自身の略歴や仕事内容などを教えてください。どういった背景で、STATION Aiでスタートアップ支援に関わるようになったのでしょうか?

加藤 大貴:

34年前、今のSTATION Aiの目の前にあった産婦人科(現在は廃院)で生まれた、生粋の地元民です(笑)。両親も名古屋生まれで、父の仕事の都合で2歳の時に引っ越してから18歳までは静岡にいました。

その後大学時代は関西で、社会人になってから暫くは東京で過ごしました。大学卒業後はレバレジーズ(現:レバテック)に新卒入社し、その後リクルートを経て、ヤフー(現:LINEヤフー)の採用担当として仕事をする中で、名古屋には4年前に戻ってきました。その後こ゚縁があり、採用領域の責任者としてSTATION Aiにジョインしたのが2023年のことです。STATION Aiでは、入居するスタートアップの審査を担当しています。STATION Aiでは、これまで長きにわたって企業の人材採用を担ってきた経験が活きています。

製造業が盛んなこの地域に、県外から来るスタートアップも多い

スタクラ:

STATION Aiの立場から見た、東海・愛知エリアのスタートアップにある特徴や魅力について教えていただけますか?

加藤 大貴:

ご存知の方も多いかと思いますが、この地域は製造業が盛んなことから、BtoBビジネスやDX、製造業向けソリューションを展開するスタートアップが特に目立っています。また、大学発のディープテック系スタートアップも多いのが特徴です。

STATION Aiの入居者を見ると、本社がこの地域にないにもかかわらず、製造業へのアプローチを目的に入居している、または入居を希望している企業が目立ちます。特に、東海地方の産官学連携を活用したいという目的で入居するケースが多く見受けられます。

STATION Ai の外観

STATION Ai の外観

「地域を知り、相手を知る」ことから始めてほしい

スタクラ:

それでは、県外から移住して東海・愛知エリアのスタートアップで働く場合に気をつけた方が良い点、ギャップに感じやすい点などがあれば教えてください。

加藤 大貴:

私自身、4年前まで東京に住んでいて感じたことですが、東京ではご近所さんとのつながりが希薄になりやすい傾向があると思います。

まずは「地域を知り、相手を知る」ということが大事で、ドライではなく感情的な人間関係を意識すると上手くいくと思います。ビジネスに直接関係ないとしても、町内会やご近所付き合いなどから、密なコミュニケーションを意識することをおすすめします。

一方で、この地域には「地元」や「ご近所付き合い」を大切にする人が多いため、ビジネスを始める際には人間関係の構築が非常に重要だと感じています。例えば、「挨拶もすべてオンラインで済ませる」といったスタンスは、あまりおすすめしません。良い人間関係の構築がその後のビジネスにも良い影響を与えると思います。

そのためにも、まずは「地域を知り、相手を知る」ことが大切です。ドライな関係ではなく、その「地域」やその「人」とのつながりを意識すると、きっとこのエリアでのビジネスはうまくいくと思います。ビジネスに直接関係がないことであっても、地元のイベントやご近所付き合いを通じて、密なコミュニケーションを取れると良いと思います。

STATION Aiへの入居が信頼の証となる

スタクラ:

東海・愛知エリアにおけるスタートアップの仕事の進め方や働き方について、特徴はありますか?

加藤 大貴:

この地域で起業してSTATION Aiに入居する場合と、東京で起業する場合で、働き方に大きな違いはないと考えています。実際、STATION Aiには東京を拠点にしているスタートアップも多く、東京出身の方も多数いらっしゃいます。

ただ、東京のスタートアップと比べてビジネスのスピード感が遅く感じるという意見を聞くことはあります。企業によって大きく異なると思いますが、仕事の進め方にアナログな部分が残っていたり、業務効率化が十分でないケースもあるかもしれません。

とはいえ、このような課題についてはSTATION Aiによるサポートで解決できることが多いと考えていますので、不安なことがあればお気軽にご相談いただければと思います。

また、東海・愛知エリアにおいては、愛知県庁が支援するSTATION Aiに入居することが大きなアドバンテージとなります。STATION Aiにはすべての企業が入居できるわけではなく、一定の審査を通過する必要があります。

つまり、STATION Aiに入居すること自体が、この地域での信頼の証となり、地域企業とのファーストコンタクトの段階で一目置いてもらえることになります。その結果、関係構築がスムーズに進むとともに、地元金融機関への融資相談も行いやすくなります。

実際に、東京ではうまくいかなかったスタートアップがこの地域に身を移し、ここでの支援を受けその後成長を遂げたという事例もあります。

STATION Aiの目的はオープンイノベーション

STATION Aiの目的はオープンイノベーション

明確な目標を持ち、発信していくことが大切

スタクラ:

STATION Aiに入居して、サービスを最大限に活用していくためには、どのようなことを意識すれば良いでしょうか?

加藤 大貴:

明確な目標を持って入居していただくことが大切だと思います。実際、明確な目標を持っている入居企業は、STATION Aiのサービスをうまく活用できている印象があります。
オープンイノベーションの創出はもちろんですが、それを実現するためには、顧客開拓やパートナー企業との連携といった具体的な目的を掲げて発信していただくことで、活用すべきサービスが明確になると思います。

また、特に入居直後は、一定期間意識的に「顔を見せる」ことをおすすめします。抱えている課題やSTATION Aiに望む支援内容について発信することが重要です。これは、飲食店に通い続けると常連客として顔を覚えてもらえるのと同じように、運営側が入居者のニーズを把握しやすくなり、その後の支援がスムーズに行えるようになるためです。

今後はステージに応じた支援にも注力。是非気軽に相談を

スタクラ:

採用担当の加藤さんにぜひお聞きしたいのですが、採用に困っているスタートアップに対して、STATION Aiでは具体的にどのようなサポートを提供しているのでしょうか?

加藤 大貴:

最近手掛けた支援は、いくつかあります。1つ目はオフィスアワー、いわゆる相談会の開催です。2つ目は採用イベントで、小規模イベントに加えて、年に1回の大規模イベントも開催しています。3つ目は、外部のHR系パートナーとのアライアンスを通じて、入居者の課題解決を目指す仕組みづくりです。今後は、企業のステージに応じて必要な人材を提案・提供できるシステム構築にも注力していきたいと考えています。

スタクラ:

最後に、東海・愛知エリアのスタートアップで働くことを検討している方々に向けて、メッセージがあればお願いします。

加藤 大貴:

今回お話した内容を通じて、STATION Aiへの入居に興味を持っていただけた方がいれば非常に嬉しいです。また、スタートアップで働くことや起業について悩んでいることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

スタクラ:

貴重なお話、ありがとうございました。

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スタクラ編集部

「次の100年を照らす、100社を創出する」スタクラの編集部です。スタートアップにまつわる情報をお届けします。

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スタートアップをはじめとする新規事業創出に取り組む人々のためのオフィス、フィットネスジム、テックラボに加え、一般の方も利用可能なカフェ・レストラン、ホテル、イベントスペース、あいち創業館が併設されている。

≪アクセス≫
愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目2番32号
JR鶴舞駅(STATION Ai前 駅)から徒歩6分 ※名古屋駅から2駅