
スタートアップ転職の仕方について、全24回の連載です。
自身のキャリアの考え方のヒントや、スタートアップへの挑戦の後押しに、ぜひご覧ください!
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はじめに:スタートアップの船長は“誰を船に乗せるか”を考えている
スタートアップへの転職を考える際、企業選びはキャリアの未来を大きく左右する大事な決断です。
スタートアップは、いわば「未踏の目的地に向かって航海する小さな船」。そしてその航海の指揮をとるのが創業経営者=船長です。
この「船長」がまず考えるのは、「どこへ行くか」ではなく、「誰と行くか」。
一度海に出てしまえば、簡単に船を降りたり、乗り換えたりできないからこそ、「誰を乗せるか」には慎重にならざるを得ないのです。
あなたがこの船に乗り込む覚悟があるのなら、ぜひ知っておいてほしい、後悔しないスタートアップ転職には、“自分に問うべき3つの条件”についてお伝えします。
条件①:「何のためにスタートアップに転職するのか?」を明確にする
最初にして最大の問いは、「なぜ自分はスタートアップに行くのか?」です。
この問いに対する答えが曖昧なままでは、スタートアップ転職はおすすめできません。
「裁量が欲しいから」「成長したいから」「刺激がありそうだから」。
そうした理由も否定はしませんが、自分なりの明確な“目的”があることが何より大切です。
スタートアップには、明日何が起こるかわからない不確実性があります。
事業はピボットし、役割も変わり、時には専門外のことも求められます。
そんなときに踏ん張れるかどうかは、「自分は何のためにここにいるのか」という目的意識の強さにかかっているのです。
条件②:このスタートアップで、その目的を果たせそうか?
次に問うべきは、「この企業で、自分の目的が果たせるのか?」ということです。
たとえば目的が「プロダクトの立ち上げに関わりたい」であれば、
その企業がまだプロダクトの立ち上げ段階にあるのか、既に立ち上がってしまっているのかで、得られる経験は大きく変わります。
結果が出せるかどうかは運にも左右されるため、そこをゴールに置く必要はありません。
大切なのは、「目的に沿った環境に、いま自分は飛び込もうとしているか」です。
スタートアップにおいて「経験」は何よりの財産。
それが次の挑戦に繋がるのであれば、その転職は間違いなく価値のあるものになります。
条件③:この創業経営者(CEO)と一緒に働きたいか?
スタートアップ、とくにアーリーステージの会社においては、「会社=社長」と言っても過言ではありません。
だからこそ、「このCEOと一緒に働きたいと思えるか」という感覚は非常に重要です。
この判断の軸は、主に以下の2点です
・そのCEOが掲げるビジョンに、心から共感できるか
・そのCEOの価値観や意思決定スタイルと、自分の性格・志向が合っているか
「ビジョンに共感しているからこそ、変化に柔軟に対応できる」
「社長の人柄に信頼が持てるからこそ、ピンチの時もついていける」
そんな“腹落ち感”や“安心感”があるかどうかが、長く働けるかどうかを決定づけるのです。
スタートアップの変化に耐える“軸”を持とう
スタートアップの道は平坦ではありません。
事業が変わり、役割が変わり、日々の仕事も目まぐるしく変わっていきます。
そんな中で、自分を見失わずにいられるかどうかは、この「3つの条件」をクリアしているかにかかっています。
たとえ自分の専門性がすぐに活かせなくても、
「この目的のためなら、いまはこの仕事でもがんばれる」
「この社長のもとで学べることがあるから、やってみよう」
そう思える人だけが、スタートアップの荒波を越えて、目的地にたどり着くことができるのです。
おわりに:船に乗る覚悟をもって、自分に問いかけてみよう
スタートアップの船長(社長)は、「誰を船に乗せるか」を真剣に考えています。
だからこそ、乗る側のあなたも、同じくらい真剣に「自分はなぜこの船に乗るのか」を問う必要があるのです。
「何のために転職するのか?」
「その目的はここで果たせるのか?」
「この人と一緒に航海したいか?」
この3つを胸に、後悔のないスタートアップ転職を目指してください。
自分の人生という航海の、価値ある一歩になりますように。
スタートアップとひと口に言っても、企業にはそれぞれ異なる成長段階があります。
次回は、シード期/アーリー期/グロース期の違いと、それぞれに向いている人の特徴をわかりやすく解説。
自分に合うフェーズを見極める視点をお届けします。

#7.「染み出し」の3つの切り口