
スタートアップ転職の仕方について、全24回の連載です。
自信のキャリアの考え方のヒントや、スタートアップへの挑戦の後押しに、ぜひご覧ください!
- 目次 -
はじめに:「向かない」ことは悪ではない
スタートアップ転職に関心を持った人のなかには、こんな不安を抱える人もいます。
「自分の性格的に、スタートアップは向いていないのかも…」
「でも、やっぱり挑戦してみたい気持ちはある」
そうした葛藤は、ごく自然なものです。
本章でお伝えしたいのは、「スタートアップに向かない人=価値がない」ではないということ。
むしろ、スタートアップには合わない人ほど、他の環境で大きく力を発揮する可能性があるのです。
この回では、スタートアップに「向かない」とされる傾向を、あえて正直に言語化しながら、どんな人にどんな働き方がフィットするのかを考えていきます。
傾向①:変化よりも安定を求める
スタートアップは日々、大小さまざまな変化にさらされます。
戦略の転換、組織再編、担当領域の急な拡大などが頻繁に起こり得ます。
このような環境下で、「落ち着いたペースで、一つの仕事にじっくり取り組みたい」というタイプの人は、精神的に疲弊してしまう可能性があります。
安定を重視するのは、人間としてとても自然なことです。
だからこそ、スタートアップのように“動的な環境”が苦手な人がいるのは当然なのです。
傾向②:明確な役割分担やルールが必要な人
大企業や行政組織のように、業務フローが整っていて役割がはっきり決まっている職場を好む人もいます。
そうした人にとって、「やるべきことを自分で定義する」スタートアップの文化は、ストレスの源になりやすいのです。
「誰がどこまでやるのか」「何をどこまで決めてよいのか」が曖昧な状態が続くと、混乱や不安を感じやすくなります。
「決まってないことを自分で決めていい」という文化に魅力を感じるか、それとも不安になるか。
ここが、スタートアップとの相性の分かれ道になります。
傾向③:「評価されたい」より「間違えたくない」気持ちが強い
スタートアップでは、スピード重視・仮説実行型の働き方が基本です。
つまり、「まずやってみる」「途中で修正する」「最初から完璧を目指さない」姿勢が求められます。
そのため、失敗に対して強い恐れを持っていたり、正確さや完璧さを過度に重視する人は苦しくなることがあります。
もちろん、ミスを避けたいという気持ちは誰にでもあります。
しかし、スタートアップでは、
間違えること自体よりも、“動かないこと”のほうが問題視される
未完成でも、動いて改善するプロセスを重視する
という文化があることを理解しておく必要があります。
「向いてない=劣っている」ではない
ここまで読んで、「自分はスタートアップには向いていないのかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。
でも、どうかこう考えてみてください。
向き・不向きは、能力の上下ではなく、“環境との相性”の問題なのです。
たとえば…
- 安定性や制度を重視する人は、仕組みの整った大企業で本領を発揮する
- ミスを最小限に抑える姿勢は、品質管理や法務のような領域で強みになる
- 明確な役割があることで集中できる人は、成熟した組織でこそ力を発揮できる
スタートアップが向いていなくても、それはあなたの価値が低いわけではありません。
むしろ、「どこで輝けるか?」を考えることが、最も生産的なキャリア選択になります。
それでも気になるなら、“混ざってみる”選択を
ここまでを読んで「でもやっぱり、スタートアップの雰囲気が気になる」と感じているあなたへ。
完全に転職する前に、“少し混ざってみる”というアプローチをとることもできます。
- スタートアップのイベントやミートアップに参加する
- スタートアップ経営者の発信をフォローする
- スタートアップで働く知人に話を聞く
- 転職ではなく業務委託や副業として関わってみる
体験的に“空気を吸ってみる”ことで、向いているかどうかの判断材料が得られます。
おわりに:「向いていない」と知ることも、大切な収穫
スタートアップという環境は、人によっては居心地の悪い場所にもなり得ます。
けれど、それを避けることが悪いわけではありません。
自分の性格・価値観・働き方の軸を知ることこそが、キャリア選択の第一歩。
本連載では、あなたが“スタートアップを選ぶかどうか”よりも、“自分にとって納得のいく選択”ができることを何より大切にしています。
次回(第3回)は、自分が向いているかを見極める3つの質問を通して、より実践的に“自己理解”を深めていきます。ぜひお楽しみに!

#1.スタートアップに向いている人の特徴とは?