失明リスクを減らしたい―眼科疾患に挑む、エピジェネティクス創薬研究

福井大学学術研究院工学系部門 生物応用化学講座 教授 沖 昌也氏

スタートアップ支援の文化と環境を持つ福井

スタクラ:

福井大学発スタートアップとして、特徴、将来性(ポテンシャル)、強み、などについて教えてください。

沖 昌也:

福井大学の魅力は、腰を据えて研究に取り組める環境が整っていることです。短期的に成果を求められる環境では、結果の出やすい研究を誰が一番にできるかという競争になりがちで、私は好きではありません。福井大学では時間をかけて、じっくりと本質に迫る開発ができるので、とても良い環境だと思います。学長にも気軽に相談でき、「まずはやってみたら?」と快く支援してくれます。医工連携(医学部と工学部の連携)プロジェクトに対しても大学から資金面のサポートをいただいています。

福井県は、スタートアップ支援に非常に力を入れている県です。北陸新幹線で東京-福井のアクセスが良くなり、スタートアップ用のオフィスなども整備されています。わざわざ東京から福井に移住してきた人もいて、「東京に比べると行政の対応が圧倒的に速くて、スピード感がある」と言っていました。

これには、繊維産業で栄えてきた福井ならではの歴史が影響しているかもしれません。「下町ロケット」というドラマのモデルにもなった福井経編興業など、ものづくり企業が盛んな土地柄、新しい挑戦を応援する文化が根付いています。特に私たちの場合は、福井で初となる創薬分野での挑戦ということもあり、県や地域の期待も高く、力強い支援をいただいていると感じます。

個人的には、地元なのでいろいろな企業に支援してくれる同級生がいることも強みだと思っています。福井は住むにも良いところですよ。冬はすごく寒いですが、食べ物はとにかく美味しいし、「全47都道府県幸福度ランキング」(一般財団法人日本総合研究所編)で12年連続1位になっています。

同じ思いを持ちチャレンジする仲間を増やしたい

スタクラ:

最後に沖さんから、この研究に関わってみたいと思う方へメッセージをお願いします。

沖 昌也:

何よりも、研究の目的とモチベーションが同じ方向を向いている方、「すべての人が、見える未来をつくる」という思いを同じくする方と一緒に仕事をしたいと思います。

若い研究者には、失敗を恐れず、もっとチャレンジして欲しいと思っています。私もいろいろなことを乗り越えてきましたが、苦労をしてようやく成功したときの感動は忘れられません。これが研究の醍醐味だと思いますし、同じ感動を多くの方に経験していただけたら嬉しいですね。

スタクラ:

貴重なお話、ありがとうございました。

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