【ディープテック特集①】バイオで未来が変わる!身近になってきた最先端の技術

「バイオテクノロジー」と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。でも実は今、医療や食、環境など、私たちの身近なところでどんどん活用され始めているんです。この記事では、そんな“いのちの技術”がどんなふうに進化し、どんな可能性を広げているのかを、わかりやすくご紹介します。

ディープテックといわれる、社会課題解決に大きな影響を与える科学や技術が日本でも注目されています。ここではディープテックについて、現在の動向とスタクラに掲載されている企業をまとめてみました。これからの未来につながる仕事がしたい!社会課題解決に貢献したいけど、具体的にどんな企業があるの?と思った方はぜひ読んでみてください。

※音声で聞きたい人はこちらからどうぞ

プログラムのように「生命を設計する」時代へ

今、生命そのものを自在に設計・創造できる時代が始まろうとしています。その中心にあるのが「合成生物学(Synthetic Biology)」という新しい学問・技術分野です。

合成生物学とは、DNAや細胞を“素材”として扱い、狙った生命機能を人の手で設計して生み出すという考え方です。まるで電子部品を組み合わせて機械をつくるように、生命の要素を組み立てて機能を持たせる“工学的アプローチ”が特徴です。

これまで「遺伝子組み換え」といえば農業や医療の話に限られていましたが、現在はその発想は大きく進化し、生き物そのものをプログラムのようにデザインする、ということが現実になってきています。

合成生物学とバイオファウンドリーが切り拓く未来

合成生物学の核心にあるのが、DNAを「コード」として設計し、狙った機能を持つ生命システムを作り出すという概念です。

これを実現するために重要なのが、「バイオファウンドリー(Biofoundry)」と呼ばれる仕組みです。これはAIやロボットを駆使し、遺伝子の設計、合成、評価といった実験工程を超高速かつ自動で進めるいわば“生命科学版の半導体工場”のような存在です。

今まで、数年かかっていた研究開発のサイクルが、数週間〜数ヶ月レベルに短縮されています。研究が属人的な職人技から、標準化されたエンジニアリングへと変わろうとしています。

生命×AI×ロボティクス──産業の基盤技術へ

また、生命科学とAI、ロボット技術の融合が急速に進み、医療に限らず、食料・環境・素材といったあらゆる産業分野に広がっています。

AIやロボティクスが「計算」や「動作」を担当するのに対し、バイオテクノロジーは「生命」そのものと複雑に扱う分野です。だからこそ、他の技術にはない社会的インパクトや独自の価値が期待されています。

DeepMind社の開発した「AlphaFold(アルファフォールド)」は、タンパク質の立体構造を高精度に予測するAIで、薬の効き方や酵素の働きなどを把握する上で不可欠な構造解析の分野に、革命的な進歩をもたらしました

今まで、非常に時間と労力を要した作業が、AIによって劇的に高速化したのです。

この結果、創薬や新機能タンパク質の設計がこれまでとは比べ物にならないスピードと精度で可能になりました。

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スタクラ編集部


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