
九州・沖縄発の大学発スタートアップが、ディープテックの力で世界に挑んでいます。近年、この地域では最先端の研究成果を基盤としたスタートアップが次々と誕生し、AI、量子技術、バイオテクノロジー、宇宙開発などの分野で事業化が進んでいます。国内外の投資家からも注目を集め、グローバル市場を視野に入れた成長を遂げているのが特徴です。豊富な研究資源と産学連携の強化により、九州・沖縄はイノベーションのハブとしての存在感を高めています。本記事では、世界を舞台に活躍するスタートアップの最新動向や、それを支えるエコシステムについてご紹介します。
「技術の出口戦略」を描く|九州工業大学
近年、ディープテック領域への注目が高まるなか、大学発のスタートアップ支援のあり方にも大きな変化が訪れています。特に理工系に強みを持つ大学では、研究成果を社会実装へと結びつける動きが加速しており、大学ならではの知見や人材を活かしたイノベーション創出が期待されています。
そんな中、注目を集めているのが「実学志向」を強みとする九州工業大学の取り組みです。
学内外のプレイヤーを巻き込みながら、ディープテック領域に特化したスタートアップ支援体制の構築が進められており、ロボティクスや医療・宇宙・環境といった先端分野を中心に、実践的な研究成果が数多く生まれています。
加えて、海外との連携の推進や、研究者・学生の起業マインドの醸成にも力を入れています。
今回は、こうした取り組みの中核を担う「産学イノベーションセンター」特任教授の上條由紀子氏にインタビューを実施しました。
上條氏のキャリアの背景に触れながら、九州工業大学におけるディープテック・スタートアップ支援の現在地、地域および海外との連携や、北九州という土地で働く魅力や課題について、じっくりと伺いました。
【九州特集】「技術の出口戦略」を描く

九州工業大学イノベーション本部 産学イノベーションセンター特任教授・教育連携本部 アントレプレナーシップ教育推進室室長 上條由紀子氏
九大の総合知で社会変革を|九大OIP株式会社
九州大学の100%子会社として2024年4月に設立された九大OIP株式会社は、九州大学の産学官連携を先導する組織。OIPはオープンイノベーションプラットフォームの略で、大学と産業界の接点として、両者の橋渡しを通じたエコシステムの構築をめざしています。
九州大学の教授で、九大OIP株式会社の執行役員兼サイエンスドリブンチームディレクターである古橋寛史氏、福岡市役所から九大OIP株式会社に出向している高増健⼀氏のお2人に、九大発スタートアップの強みや課題などを伺いました。特許で利益を得ることを悪だと考えていた研究者時代を経てライセンス化を推進する側に転身した古橋氏、スタートアップ支援部署に異動して「心躍る仕事に出合えた」という高増氏のお話からは、研究者を産業界や社会とつなぐ橋渡し業務の重要性、スタートアップ支援業務のやりがいや喜びが伝わってきました。
【九州沖縄特集】宇宙産業や大規模半導体工場で注目を集める九州。産官学が足並みをそろえ、九大の総合知で社会変革をめざす

九大OIP株式会社執行役員 兼サイエンスドリブンチームディレクター 古橋 寛史氏
挑戦を支えるまち、北九州|北九州市役所
産業都市として日本の近代化を支えてきた北九州市は、かつて深刻な公害問題に直面しながらも、市民・行政・企業が一体となって環境改善に取り組み、「公害を乗り越えたまち」として国内外に知られるようになりました。今、その経験を土台に、ディープテックや環境技術を軸としたスタートアップの成長を支える都市へと進化を遂げています。
ものづくりの伝統、課題先進都市ならではの実証フィールド、行政・大学・民間の連携による創業支援体制など、起業家にとって魅力的な環境が整っています。さらに、子育てや医療など生活面での安心感も、移住や定住を後押ししています。
本記事では、行政や地域の取り組みを通して、「挑戦する人を支えるまち・北九州」の今をお届けします。
【九州・沖縄特集】挑戦を支えるまち、北九州

北九州市役所 スタートアップ推進課スタートアップ支援担当係長 小濵 隼人氏
