ハードウェアエンジニアがPlanet Saversに飛び込んだ決め手は「社会的意義×まだ見ぬ技術への挑戦」

Planet Savers株式会社エンジニア 清水 克矢氏

100年後も美しい地球を守る—-気候変動の解決を目指し、日本初のDAC(Direct Air Capture)技術開発に挑むスタートアップ「Planet Savers」。

今回お話を伺ったのは、同社のハードウェアエンジニアとして活躍する清水克矢氏。大手メーカーでキャリアをスタートさせ、いくつかの転職を経てたどり着いたこの会社で、彼はいま“地球を救う装置”をゼロから作っているという。

その原動力は、「まだ誰も解いていない課題に挑戦することの楽しさ」。スタートアップ転職に迷うエンジニアの背中をそっと押すような言葉が、そこにはあった。

清水 克矢氏

エンジニア
清水 克矢氏

セイコーエプソンにてプロジェクタの冷却設計・技術開発に携わり、熱流体の評価・解析技術を習得。その後、メトロウェザーおよびLexxPlussにて会社の創業~事業拡大フェーズを経験し、製品の機能実現、品質向上および顧客獲得に貢献した。Planet Saversには2024年から参画し、メカ分野を中心にDACのシステム開発を担当している。

Planet Savers株式会社

Planet Savers株式会社
https://planetsavers.earth/

<Mission>
気候変動を食い止め、次世代に美しい地球を残す
<事業内容>
2050年に1ギガトンのCO₂を回収し、100年後も美しい地球を守るための、実用レベルのDAC技術の開発・提供

安定から挑戦へ。キャリアに“正解”を求めなかった清水氏の選択

スタクラ:

まず、これまでのご経歴を教えてください。

Planet Savers株式会社 エンジニア 清水克矢氏(以下敬称略):

2011年に大学を卒業して、最初に入社したのが大手電子機器メーカーです。そこで7年ほど、プロジェクターの冷却技術に関わる設計や開発を担当していました。

ただ、やっていくうちに仕事がやや単調に感じられるようになって、「新しい領域にも挑戦したい」という気持ちが強くなり、転職を決意しました。

その後は、京都府内にあるセンサー系のスタートアップに転職しました。そこでは3年間、ハードウェアの開発に携わり、次にロボット製品を設計・開発する会社へ。複数社を経験しながら、「もっとチャレンジングな環境に行きたい」という気持ちが強まっていったと思います。

スタクラ:

大手メーカーからスタートアップに転職する際、不安はありませんでしたか?

清水 克矢:

もちろんありました。特に最初の転職のときは、ハードウェア系のスタートアップって本当に情報が少なかったんです。周囲で事例も聞いたことがなかったですし、「ちゃんとモノづくりができる環境なのか?」「人間関係はどうなんだろう?」と不安はたくさんありました。

ただ、それでも「やってみないとわからない」と思えたんですよね。もしうまくいかなかったとしても、スタートアップという環境に一度身を置いてみること自体に意味があると思っていました。

スタクラ:

挑戦の姿勢がすでにあったんですね。

清水 克矢:

はい。私はもともと「ひとつの分野のスペシャリスト」というより、いろいろなことに関わってみたいタイプなんです。だからこそ、役割が固定されないスタートアップには惹かれました。実際に入ってみて、「自分で考えて動くこと」がこんなにも面白いのか、と気づくことができました。

社会的インパクトに惹かれて。Planet Saversとの出会いと決断

スタクラ:

Planet Saversに出会ったきっかけを教えてください。

清水 克矢:

当時は転職活動をしていて、いろんな媒体やエージェントを使っていました。その中でCEOの池上さんと面談する機会があり、初回面談から3週間ほどで入社を決めました。

スタクラ:

かなり早い決断ですね。

清水 克矢:

はい、でも最初に話をしたときから、「波長が合う」という感覚があったんです。直感って大切ですよね。会社としての目指す方向も明確でしたし、何より「社会的なインパクトが大きいことをやっている」と感じられたのが大きかったです。自分も一緒に挑戦したいと思いました。

スタクラ:

Planet Saversはどんな事業をされているのでしょうか?

清水 克矢:

Planet Saversは、大気中のCO₂を直接除去する「DAC(Direct Air Capture)」技術を社会実装することを目指す、日本初のスタートアップです。

私たちは、革新的なCO₂吸着材と、それに最適化された専用の回収装置を開発していて、実用的なコストでCO₂除去が可能になることを目指しています。最終的には、2050年に1ギガトンのCO₂を除去し、ネットゼロと美しい地球の未来に貢献することが私たちのミッションです。

「地球を救う装置をつくる」やりがいと、チームの心地よさ

スタクラ:

現在は、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

清水 克矢:

私は主に、DAC(Direct Air Capture)装置のシステム設計や要素技術の開発を担当しています。流体、熱、材料といった要素技術を組み合わせて、装置のコンセプトを図面に落とし込み、構成部品を定量的に設計・解析しています。

加えて、試作・試験の計画や実施、結果の分析、パートナーやベンダーとの調整など、幅広い業務を担当しています。実装や現場作業にも入りますし、得られた知見はすぐに設計へフィードバックする──そんなサイクルを高速で回しています。

スタクラ:

かなり上流から下流まで幅広く関わっているんですね。

清水 克矢:

はい、それがまさに面白いところです。ゼロからモノづくりができる感覚がありますし、「吸着材×機械工学」という異なる分野の融合もチャレンジングです。小さなチームの中で裁量も大きくて、しかも扱っているテーマが“地球規模”。技術者として、これほどやりがいのある仕事はなかなか無いと思っています。

スタクラ:

入社後にギャップを感じた部分はありましたか?

清水 克矢:

ありました。いい意味でのギャップなんですが、「思っていた以上に、みんな人がいい」ということです。

心理的安全性がしっかりあるというか、言いたいことをまっすぐに言える雰囲気があるんです。上下関係もフラットで、誰の意見でもきちんと耳を傾ける文化があります。分からないことは「分からない」と素直に言えるし、それを前提にチームで一緒に考える。あーだこーだ言いながら、一緒に試行錯誤して、まだ誰も知らない答えに向かって進んでいく感じがすごく楽しいです。

また、社員のご家族も招待してのお花見を開催するなど、家族も含めて暖かい関係性が築かれているのも、この会社の魅力だと思います。

ワクワクできるかどうか。技術者がスタートアップを選ぶ理由

スタクラ:

スタクラをご利用いただいたとのことですが、使ってみて良かった点はありましたか?

清水 克矢:

はい。当時スタクラさんにキャリア相談をさせていただく機会があって、スタートアップ転職についていろいろとアドバイスをいただけました。

特に、ハードウェアエンジニアとしてスタートアップへ行くという道は、自分の周囲では前例が少なくて、「そういうキャリアもあり得るんだ」と思えたことがすごくありがたかったです。具体的な選択肢や働き方をイメージできたことが、実際の行動につながりました。

スタクラ:

最後に、スタートアップ転職を考えている読者にメッセージをお願いします。

清水 克矢:

これまでの経験を活かせるかどうかも大事ですが、「自分が何にワクワクできるか」を大切にしてほしいです。気候変動のような社会課題に対して、自分の技術で直接貢献できる機会って本当に少ないです。Planet Saversでは、それが日々の仕事として実感できる。

スタートアップって、不確実なことも多いけれど、だからこそ“やってよかった”と思える濃い経験ができる。挑戦してみたいという気持ちが少しでもあるなら、一歩踏み出してみてほしいですね。

編集後記

技術の力で社会課題に挑む──そんな大きなテーマに、日々の試行錯誤と等身大の熱量で向き合っている清水さんの姿が印象的でした。

キャリアに「正解」はなくても、どこかで「これはやってみたい」と思える瞬間があるなら、それは十分に飛び込む理由になるのかもしれません。

この挑戦のストーリーが、迷いの中にいる誰かの一歩を後押しできたら嬉しいです。

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スタクラ編集部

「次の100年を照らす、100社を創出する」スタクラの編集部です。スタートアップにまつわる情報をお届けします。

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気候変動を食い止め、次世代に美しい地球を残す
<事業内容>
2050年に1ギガトンのCO₂を回収し、100年後も美しい地球を守るための、実用レベルのDAC技術の開発・提供