「最終的に5〜6人いたチームが自分1人になり業務が変わりました」
大手のエンジニアリング会社で20年ほど機械の設計を続けてきた佐竹好史さんは、コロナ禍をこう振り返ります[注1]。
佐竹さんはそのあと、40代半ばで京都大学発のスタートアップに移りました。
いまは「本当に転職してよかった」と話しています[注1]。
40代だから遅い、ということはありません。
ただ、佐竹さんにも、家族を支える身として迷った時期がありました。
何を確かめて、決めることができたのか。
この記事では、佐竹さんの話を軸にします。
評価される経験5つと、年収とリスクの確かめ方をまとめます。
- 目次 -
この記事でわかること
- 40代のベンチャー転職は遅いのか
- 40代で評価される経験5つ
- ベンチャーに移ると年収は下がるのか
- 後悔するのはどんなときか
- どんなベンチャーを選べばいいか
40代のベンチャー転職は遅い?
40代でもベンチャーに移ることはでき、40代半ばで移って「本当に転職してよかった」と話す人もいます。
佐竹さんは、新卒で大手のエンジニアリング会社に入りました[注1]。
重さ1〜2トンの医療装置から卓上の機器まで、幅広く設計を担当してきました。
転機はコロナ禍でした。
事業が守りに入り、開発テーマが減少。最終的に5〜6人いたチームが自分1人になり業務が変わりました。
このとき佐竹さんは、「自分が辞めても組織は回る」と冷静に感じたそうです[注1]。
食やエネルギー不足のニュースを見るうちに、社会の課題に関わりたいと思うようにもなりました。
ただ、すぐには決められませんでした。
実際、家族を支える身としてスタートアップ転職には迷いもありました。
佐竹さんは、国の支援策や市場の動きを調べたうえで決めています[注1]。
「挑戦が失敗に終わっても次の機会はある」と思えることができた。ちゃんと納得したうえで決意ができました。
移った先は、燃やさずに電気を生み出す発電技術を開発しているライノフラックスです。
応募したのは、この1社だけでした[注1]。
私自身、40代半ばで転職しましたが、今は「本当に転職してよかった」と心から思っています。
40代のベンチャー転職は、遅くありません。
スタクラでは、独自の審査を通ったスタートアップだけを厳選して掲載しています。
40代のあなたの経験が生きる求人も、職種や会社の段階から探せます。
40代のベンチャー・スタートアップ転職で評価される経験5つ
40代でベンチャーに移るときに評価されやすいのは、次の5つの経験です。
| 評価されやすい経験 | ベンチャーで生きる場面 |
|---|---|
| 1つの分野を深めてきた | 技術の中心を任される |
| 担当の外まで幅広く担った | 設計から顧客対応までつなぐ |
| 新しい分野を学び直した | 足りない知識を自分で埋める |
| 製品を世に出すまで関わった | 研究を売れる形にする |
| チームを率いてきた | 人が増える時期をまとめる |
①1つの分野を深めてきた経験
1つの分野を長く続けてきた経験は、ベンチャーで技術の中心を任される理由になりやすいです。
佐竹さんは、20年ほどの設計の経験を持ってライノフラックスに入りました[注1]。
いまはチーフメカニカルエンジニアを務めています。
発電装置のコア部分である「セル」の設計、実験計画、検証、改善まで幅広く担当しています。
②担当の外まで幅広く担った経験
ベンチャーでは、決まった担当の外まで受け持つ場面が多くなります。
佐竹さんは、前の会社では仕様書をもとに設計する仕事が中心だったと話しています[注1]。
いまは、お客さんも直接担当しています。
今は、現場でのお困りごとや期待を直接伺い、その場で議論しながら設計に反映できる。
大きな会社に長くいた人は、部署をまたいで動いた場面を書き出してみると、この経験が見つかります。
③新しい分野を学び直した経験
足りない知識を自分で学び直せることも、40代で評価されやすい点です。
佐竹さんは、ライノフラックスに移ってから化学を学び直しています[注1]。
化学の知識は決して得意ではなかったので、一から勉強し直しましたし、英語でコミュニケーションを取るメンバーも増えたため、語学面でも鍛えられています。
面接では、これまでに新しい分野を身につけた場面を1つ話せるようにしておきます。
④製品を世に出すまで関わった経験
研究で終わらせず、製品として世に出すところまで関わった経験も評価されやすい経験です。
Planet Saversの大木知則さんは、2003年に化学メーカーに入社し、材料の研究開発を続けてきました[注2]。
いまは、CO₂を吸着する材料の合成から量産化までの開発に関わっています。
私はこれまで20年以上、製造現場に近い研究開発をやってきたので、そこでの経験が「製品を世に生み出すまでが開発」というミッションに生かされていると感じています。
⑤チームを率いてきた経験
プロジェクトや開発チームを率いた経験は、人が増えていく時期のベンチャーで求められやすい経験です。
大木さんは、これまでの会社でプロジェクトリーダーや開発マネージャーを務めてきました[注2]。
ただ、ベンチャーでは人をまとめるだけでなく、自分でも手を動かす場面が多くあります。
大木さんも、人手が少ないので何でも自分でやる必要があり、大変な面もあると話しています[注2]。
面接では、率いた経験と一緒に、自分の手で進めた仕事も具体的に話します。
40代でベンチャーに移ると、年収は下がる?
40代で転職した人全体では、前の会社より賃金が増えた人のほうが、減った人より多くいます。
厚生労働省の雇用動向調査(令和6年)で、40〜44歳の転職した人を見ます[注3]。
前の会社より賃金が増えた人は45.9%、減った人は29.0%でした。
45〜49歳では、増えた人が46.4%、減った人が23.8%です[注3]。
ただ、これは転職した人全体の数字で、ベンチャーに移った人だけの数字ではありません。
ベンチャーの年収は、会社の段階と職種で大きく変わります。
スタクラに載っている求人では、年収の下限の真ん中が540万円です[注4]。
上限の真ん中は900万円です。
大手で長く働いた人は、いまの年収と比べて、どの段階の会社なら下がらないかを見ておきます。
比べるときは、次の4つをまとめて見ます。
- 額面の年収
- 手取り
- 住宅手当や退職金などの福利厚生
- ストックオプション(あとで自社の株を決まった値段で買える権利)の有無と条件
ストックオプションは、会社が上場しないと現金にならないことがあります。
年収が下がる分をストックオプションで埋める考え方をするなら、行使できる条件まで確かめておきます。
40代のベンチャー転職で後悔するのはどんなとき?
後悔につながりやすい場面は、次の3つです。
- 会社の資金が続かなかったとき
- 人手の少なさが想像以上だったとき
- 学び直しの量が想像以上だったとき
会社の資金が続かなかったとき
大木さんは、Planet Saversの前に、電池の材料をつくるスタートアップに移っていました[注2]。
製品の開発と中量産の立ち上げに成功し、売上が立ち始めたところで、会社の資金繰りが悪くなりました。
会社の資金繰り悪化による給与未払いが発生して…1年弱でやむなく退職することになりました。
その直後に、Planet Saversの代表からスタクラを通して声がかかり、大木さんはいまの会社に移っています[注2]。
人手の少なさが想像以上だったとき
ベンチャーでは、大きな会社なら別の部署が受け持つ仕事も、自分でやることがあります。
大木さんは、いまの会社のよさを話しつつ、こうも話しています[注2]。
一方で、人手が少ないので何でも自分でやる必要があるというのは、やはり大変な面もありますね。
学び直しの量が想像以上だったとき
佐竹さんは、化学と英語を一から学び直しています[注1]。
ベンチャーの仕事そのものについても、佐竹さんはこう話しています。
スタートアップは正直大変です。結果も求められますし、不確実なことも多い。
後悔しないために、入る前に聞いておきたいこと
面接の段階で、次の3つを聞いておくと、資金と仕事量のずれを入る前に確かめられます。
- 最後に資金を調達したのはいつで、いくらか
- いまの資金で、あと何か月ほど事業を続けられる見込みか
- 自分が入ったあと、半年で何を任されるか
それでも会社がうまくいかないことはあります。
大木さんは、迷っている人に向けてこう話しています[注2]。
不安もわかりますし安定を手放すのは勇気がいりますが、今の経験はきっと次に生きるし、何よりここでの経験自体が唯一無二のものになると思っています。
40代はどんなベンチャーを選べばいい?
40代で選ぶときは、外から調べられることと、面談で確かめることを分けて見ます。
外から調べておきたいのは、次の3つです。
- 資金調達のニュースや会社の発表で、最後に調達した時期と額
- 会社の段階(フェーズ)と、自分に任されそうな役割が合うか
- 事業のテーマが、自分の関心とつながっているか
面談では、会社が自分のことも考えてくれるかを見ます。
ライノフラックスの代表は、面談で佐竹さんにこう何度も確かめたそうです[注1]。
会社にとってだけでなく、あなた自身にとって良い選択なのか
佐竹さんは、それがとてもうれしかったと話しています。
家族には、会社の資金のことや働き方を具体的に説明できるようにしておきます。
会社のフェーズと職種で、求人を絞り込めます。
登録すると、気になる会社に話を聞いたり、応募したりできます。
会社の段階ごとに何が変わるかは、スタートアップのフェーズの選び方で説明しています。
後悔しないための考え方は、後悔しないスタートアップ転職の条件でまとめています。
40代のベンチャー転職でよくある質問
45歳を過ぎても、ベンチャーに転職できますか?
はい、45歳を過ぎて移る人もいます。
厚生労働省の調査では、45〜49歳で転職した人の46.4%は、前の会社より賃金が増えています[注3]。
40代で未経験の職種に転職できますか?
今の経験を生かしながら領域を広げる形なら、未経験の職種でも応募できる求人があります。
考え方は、未経験の職種からスタートアップに入る方法で紹介しています。
管理職の経験がなくても、40代でベンチャーに転職できますか?
はい、1つの分野を深めてきた経験や、製品を世に出した経験が評価されることがあります。
面接では、肩書きより「何をして、どんな結果を出したか」を具体的に話します。
ストックオプションは、年収の代わりになりますか?
すぐには代わりになりません。
会社が上場しないと現金にならないことがあるので、行使できる条件を確かめてから考えます。
40代向けのベンチャー企業の求人は、どこで探せばいいですか?
ベンチャーやスタートアップの求人を集めたサイトや、転職エージェントで探せます。
スタクラの求人一覧では、職種や会社の段階で絞り込めます。
40代のベンチャー転職のまとめ
40代のベンチャー転職で評価を左右するのは、年齢よりも、経験をどう持ち込めるかです。
佐竹さんは、20年ほどの設計の経験を持って40代半ばで移りました。
迷いはあっても、調べて納得してから決めています。
ちゃんと納得したうえで決意ができました。
まずは自分の職種と合いそうな会社の段階で、求人を絞り込んで見てみてください。
参考・出典
[注1]スタマガ20年キャリアの先にライノフラックスへ──“スタートアップ生涯現役”への挑戦(2025年12月17日)
[注2]スタマガ「この技術は、世界が必要としている。」サイエンティストが選んだ、スタートアップでの挑戦(2025年7月9日)
[注3]厚生労働省令和6年雇用動向調査結果の概況 表6「転職入職者の賃金変動状況別割合」(2026年10月14日に確認)
[注4]スタクラの求人一覧に2026年10月14日に公開中で、年収の欄が入っている2,259件から集計
